核技術スタートアップのTAE、ゼロエミッション、非放射性核融合エネルギーの商業化に向け約340億円を調達

核技術スタートアップのTAEが、ゼロエミッション、非放射性核融合エネルギーの商業化に向け約340億円を調達

7月、核融合の新興企業であるTAE Technologiesは、研究炉の建設資金としてシリーズG-2資金調達ラウンドで2億5000万ドル(約340億円)を調達したことを発表した。

1998年に設立されたカリフォルニア州に本拠を置くTAEは、「地政学的な懸念や核拡散リスクがなく、最もクリーンで安全かつ経済的な核融合用地上燃料サイクル」である非放射性水素ホウ素を用いた核融合ベースのエネルギー開発のパイオニアである。同社の先進的なビーム駆動型電界反転配置(FRC)は、プラズマ物理学と加速器物理学を組み合わせたもので、カーボンフリーのエネルギーをグリッドに供給するために開発されたものだ。

今回の資金調達ラウンドの投資家には、2014年から機械学習で協業しているGoogleのほか、Chevron、住友商事、リマジンド・ベンチャーズ、TIFFインベストメント・マネジメントなどが名を連ねている。現在までにTAEは12億ドル(約1,600億円)を調達している。

TAEの第5世代原子炉「ノーマン」は2017年に打ち上げられ、当初は3000万度でプラズマを安定的に維持するように設計されていたが、7500万度でも安定的に維持できることが証明されている。

本資金調達で得た資金は、カリフォルニア州アーバインにある研究用原子炉「コペルニクス」の建設に充てられる予定だ。同社の6号炉「コペルニクス」は、TAEのFRCアプローチによる純エネルギー発電の実現可能性を実証するために設計される予定である。

【参照ページ】
(原文)TAE Technologies Exceeds Fusion Reactor Performance Goals By 250% As Company Closes $250 Million Financing Round, Totaling $1.2 Billion To Date
(日本語訳)TAEテクノロジーズ社が核融合炉の性能目標を250%上回り、2億5000万ドルの資金調達を完了、累計12億ドルの資金調達となる

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…
  2. TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2025-6-11

    TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2024年にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-…
  3. 進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    2025-6-6

    進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    サステナビリティ情報開示の高度化が急速に進んでいる。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)…

ピックアップ記事

  1. 2025-8-18

    金融庁、EDINET新タクソノミ案公表 27年版ではサステナ情報開示も検討

    8月8日、金融庁は企業の有価証券報告書などで利用される電子開示システム「EDINET」の基盤となる…
  2. SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    2025-8-14

    SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    日本企業にとって、2026年から「気候変動対応・開示」は、企業価値を左右する重要な経営課題になるで…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る