5月19日、国際エネルギー機関(IEA)は新たな報告書 「G7メンバーにおける重工業部門のネット・ゼロ達成」 を発行した。2022年のG7議長国であるドイツが、ベルリンで開催されるG7気候・エネルギー・環境相会合とその後に向けて、政策立案者、産業界のリーダーおよびその他の意思決定者に情報を提供するために作成を要請した。
本報告書は、IEAが昨年発表した報告書「Net Zero by 2050」に基づき、 鉄鋼およびセメント生産における排出量の大幅な削減に向けて、技術開発を加速させ、高いコストを克服するための提言をしている。
重工業は、G7メンバーにおける石炭使用の15%以上、石油・ガス使用の約10%を担っている。しかし、重工業の排出量を大幅に削減する技術の多くは未だ大規模な試作品や実証実験の段階にあり、高い初期コストをカバーするには、 重工業製品の国際競争が激しく利幅が薄い。
IEAの新しい報告書は、G7メンバーが活用できるツールボックスを提示し、重工業の野心的な長期エネルギー移行目標を設定する。一方で、的確な融資やその他のリスク軽減策を通じて実証プロジェクトや初期の商業プロジェクトを支援するよう勧告している。
需要面では、鉄鋼やセメントをネット・ゼロに近い形で生産する場合、少なくとも当面は従来のプロセスで作られたものよりも高価になるため、差別化された市場を創出するために、炭素差契約、公共調達ルール、義務、割当、その他の関連措置の活用を提言している。
また、報告書はG7各国政府に対して、ネット・ゼロに近い材料生産について明確な基準値の採用を求めている。
【参照ページ】
(原文)G7 members can lead the world in reducing emissions from heavy industry
(日本語訳)IEA、重工業の排出量削減に向けた施策を提言