大規模事業者に排出量取引を義務化へ──7月2日、GX制度設計が本格始動

7月2日、経済産業省GXグループは、2026年度から開始予定の排出量取引制度(GX-ETS)の制度設計に向けた小委員会の初会合を開催した。会合では、制度の対象、算定・確認方法、排出枠の割当て、市場設計など、制度開始に必要な技術的基準の策定方針が示された。

制度は、過去3年間の平均でCO₂の直接排出が年間10万トン以上の大規模事業者を対象とし、該当企業は2050年カーボンニュートラルに向けた排出削減目標を盛り込んだ「移行計画」を策定・提出することが求められる。実排出量に相当する排出枠の保有が義務づけられ、不履行には上限価格の1.1倍の支払いが科される。

排出量の算定は、燃料使用や化学反応によるCO₂排出などを対象とし、活動量×排出係数や実測値など複数の手法が認められる。検証制度では、第三者機関による確認を義務とし、制度開始から3年間は限定的保証を基本としつつ、2029年度から合理的保証への段階的移行を予定している。

排出枠市場はGX推進機構が設置・運営し、価格の安定性確保のために上下限価格を設定。カーボンクレジットの使用は、実排出量の10%を上限とし、将来的な見直しも視野に入れている。

本制度は、GXリーグでの試行的運用を踏まえて制度化されるものであり、導入初年度から温室効果ガスの国内排出量の約6割をカバーすると見込まれている。

(原文)排出量取引制度の詳細設計に向けた検討方針

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