
4月25日、環境省は、グリーンボンドやグリーンローンの対象となる「グリーンプロジェクト」に直接該当しないものの、それらのバリューチェーン上で重要な役割を果たす「グリーンプロジェクトに寄与する事業(グリーンイネーブリングプロジェクト、GEP)」の考え方を取りまとめ、公表した。これは、我が国のグリーンファイナンス市場の裾野を広げるとともに、持続可能な投資の促進を目的とした取り組みの一環である。
環境省ではこれまで、グリーンファイナンスの推進に向けて、グリーンボンドやグリーンローンの対象となるプロジェクトを例示した「グリーンリスト」の整備・拡充を進めてきた。今回公表された考え方は、国際資本市場協会(ICMA)が2024年6月に発表した「Green Enabling Projects Guidance(GEPガイダンス)」を踏まえたもので、GEPに該当する事業の評価項目や論点を日本市場向けに補完・整理した内容となっている。
GEPとは、たとえばグリーン水素製造施設のための部品供給や、再エネ関連インフラ建設を支援する技術など、直接的には「グリーン」と分類されないが、グリーンプロジェクトの実現を支える不可欠な要素を担う事業を指す。今回の整理では、これらの事業に対してもグリーンファイナンスの枠組みが適用され得ることが明示され、新たな資金調達の道が開かれる可能性がある。
今回の取りまとめは、環境省が設置した「グリーンファイナンスに関する検討会」および「グリーンリストに関するワーキンググループ」における議論の成果であり、グリーンボンド発行やローン組成を検討する国内の市場参加者にとって、ICMAガイダンスに加えた補助的な指針として位置づけられる。
環境省は今後もICMAの国際的な議論動向を注視しながら、GEPの評価基準や支援策の充実を進める方針を示している。グリーンファイナンスを巡る政策基盤の強化は、脱炭素社会の実現に向けた民間投資の誘導に直結することから、今後の動向に注目が集まる。