5月31日、日本経済団体連合会(経団連)は米証券取引委員会(SEC)が3月に公表した「気候関連開示規則案」の内容についてのコメントを公表した。
シナリオの開示については、特定のシナリオの使用を強制すべきではないとし、シナリオ分析の開示を求める場合には、セーフハーバールールの適応を認めるべきであるとしている。
気候変動に伴う財務的な影響の注記に関しては、現時点で注記を求めるのは時期尚早であり、法定開示にすべきではないとした。
全登録企業に対するスコープ3の開示にも反対した。Scope3の開示を行うために必要なデータを計測・収集する仕組みを構築し、信頼性や網羅性を担保した情報開示を行うことを要請するためには、相当の時間と労力を要するため、任意での開示にすべきとした。また、法定開示を求める際は、セーフハーバールールを設けるべきと述べている。
温室効果ガス(GHG)排出量の開示については、温室効果ガス毎の排出量の開示を求めている点、前年度の情報を使うことが許容されていない点、GHG排出量につき規則施行前の過年度データを報告するよう求めている点、登録企業に対し連結子会社には全てのGHG排出量を、持分法適用会社には持分割合に応じたGHG排出量を含めることを求めている点について反対意見を示した。
目標の開示に関しても、義務付ける項目は最小限とすべきであると反対した。また、目標の開示は将来予測的な要素を含む場合があるため、セーフハーバールールを適用すべきとした。
データの保証に関しては、「登録企業への負担が大きく、さらに、現時点では、Scope1・2の保証についての実務が十分に醸成されているとは言えないため、現時点では、保証を求めるのは時期尚早である。」とした。
適応期間についても、2023年度からの開始に反対し、1年以上の準備期間が必要と述べた。
【参照ページ】
SEC「気候関連開示規則案」に対するコメント