【ESG 企業分析⑥】ESGへの投資額は400億円!国からも評価される積水化学のESG経営戦略

こんにちは!ESG Journal Japan編集部です!本日もESG関連のオリジナルコラムをお送りします。

本記事はESG / SDGsに力を入れて取り組んでいる上場会社の事例を取り上げるシリーズになります。

第6弾として、本日は積水化学工業株式会社(以下、「積水化学」)を取り上げたいと思います。

積水化学について

本店・本社を大阪府大阪市北区に置く、住宅、管工機材、住宅建材や建材用の化成品、高機能プラスチックなどを中心に製造する大手樹脂加工メーカー。住宅・高機能プラスチックス・環境/ライフラインの3カンパニー制を導入している。中間膜事業で垂直展開と水平展開を積極化し、「ユニット」住宅の循環型ビジネスモデルを確立。

出所:SPEEDA、会社公表資料より作成

CSR/ESGにおける対外的評価

世界で最も持続可能性の高い100社「2021 Global 100 Most Sustainable Corporations in the World index」に選出(51位、4年連続6回目)

尚、上記ランキングには積水化学以外の日本企業が4社ランクインしています(16位:エーザイ、32位:シスメックス、41位:コニカミノルタ、71位:武田薬品工業)

GPIFの国内株式運用機関からの評価

優れた統合報告書:1運用機関が選定
改善度の高い統合報告書:1運用機関が選定

出所:「GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」GPIF(2021/2/24)

ESGファイナンス・アワード・ジャパン(2019、2020):銀賞

また2019年度に環境省が創設した、「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」環境サステイナブル企業部門において2年連続銀賞を受賞しており、ESG投資に関する取り組みについて国からも大きな評価を受けています。

2019年受賞理由

経営の中で環境貢献を価値創出のドライバーとしてきた歴史から、環境課題解決が経営の根幹に据えられ、カンパニー毎の施策推進のための明確な方針が示されているとともに着実に実践されている。また、緻密な環境ガバナンス体制が構築されている。
環境に関するKPIをリスク・事業機会の面から明確にしており、過去からのデータ蓄積がある。一方で、将来に向けた環境投資枠を設定するなどの先進的な取組を評価する。
策定中の長期ビジョンのもとで、環境課題への対応が具体的に経営戦略に統合され、中期経営計画に落とし込まれることを期待したい。

2020年受賞理由

事業活動と一体化したESG活動を強く指向し、統合報告における価値創造プロセスが明快。早くから2050年の長期軸を持っていることやTCFDレポートの発行など、気候変動対応にも同社の事業特性に即して的確に開示されており高く評価。2050年ライフサイクルCO2排出量ゼロを掲げ、特に高い排出割合を占める住宅の居住段階におけるCO2排出削減のためZEHの普及を積極的に進め、高い実績を上げている。

出所:環境省、プレスリリース

積水化学のサステイナビリティに関する価値創造ストーリー

積水化学は2020年5月に発表した中期経営計画及び長期ビジョン「Vision2030」において、明確にESG経営へのFocusを謳っています。

長期ビジョン「Vision 2030」

レジデンシャル(住まい)、アドバンストライフライン(社会インフラ)、イノベーティブモビリティ(エレクトロニクス/移動体)、ライフサイエンス(健康・医療)の4つのドメインを設定し、「ESG経営を中心においた革新と創造」を戦略の軸にして現有事業の拡大と新領域への挑戦に取り組み、2030年に売上高2兆円・営業利益率10%以上を目指します。

出所:長期ビジョン「Vision 2030」
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サステナブルな社会の実現のために、経営の持続性が企業に求められています。そのような中で、これまでも取り組んできた「社会課題解決力」、「利益創出力」を高めることで社会課題解決への貢献を通じた利益ある成長を継続しつつ、新たに「持続経営力」を設定してサステナブルな貢献の拡大を目指します。
これら3つの力を軸として、ESG経営を中心においた革新と創造を進展させ、積水化学グループの持続的成長と社会の持続性向上を実現していきます。

出所:長期ビジョン「Vision 2030」
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またESG基盤の強化に関しては以下の通り具体的な取り組みを発表しただけではなく、400億円という投資額を明示したことも特徴的です。

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出所:会社公表IR資料

ESGに関する具体的取り組み

積水化学は住宅・高機能プラスチックス・環境/ライフラインの3カンパニー制を敷いているため、それぞれにおけるESGの取り組みを中期経営計画を中心にみていきます。

住宅カンパニー

積水化学は2020年度のZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス*)比率が前年より5ポイント伸長し、85%となっています。また国の2020年度までのZEH比率目標50%を既に全国で達成しており、環境省からも高評価を受けています(2021年4月26日公表。)

ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス):外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅

経産省HP
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出所:中期経営計画

中期経営方針でも住宅ESG経営の推進を掲げており、現在85%のZEH比率を90%まで上げることを目標と掲げています。ESGの中でもEにより力を入れた経営方針のようにみえます。

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出所:中期経営計画

高機能プラスチックスカンパニー

高機能プラスチックスにおけるESG経営は、グローバルマネジメントの推進を中心に取り組むようです。従業員エンゲージメント強化などSocialに比重を置いた取り組みのように見えますが、住宅カンパニー事業に比べると具体性が欠けているようです。

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出所:中期経営計画

環境・ライフラインカンパニー

こちらも高機能プラスチックスと同様、「SDGsに貢献する」といった方針は掲げているものの、具体策に関しては特に記載がありませんでした。今後のIRや統合報告書での開示に期待します。

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出所:中期経営計画

最後に

中期経営計画における各カンパニーのESGに関する具体的な方針には濃淡がみられますが、全社としてはESG専用ページをつくり、外部からも会社の取り組みがはっきりと認識できるようになっています。

積水化学グループのESG

また冒頭述べた運用機関からの評価に加え、複数のESGインデックスにも組み入れられています。積水化学は400億円というESG投資額も他社対比群を抜いており、これから様々な取り組みをしていくと考えられるため、今後の動向も要チェックです。

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出所:会社公表IR資料、IR資料

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次回第7回はオムロンのESG開示分析です。お時間がある方は前回の不二製油の記事も是非ご覧ください。

【ESG 企業分析⑦】ESG説明会が高評価!着実に進化を続けるオムロンのサスティナブル経営

【ESG 企業分析⑤】取締役にC”ESG”Oが存在!不二製油グループが力を入れたマテリアリティ特定プロセス

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