
4月23日、世界最大の食品・飲料企業であるネスレと、自然由来の食品原料を手掛けるグローバル企業ofi(olam food ingredients)は、これまでで最大規模となるカカオのアグロフォレストリー(森林農業)パートナーシップを発表した。ブラジル、コートジボワール、ナイジェリアの3カ国で約2万5,000人の農家を対象に、農場のアグロフォレストリー化と作物残渣管理の導入を支援し、今後30年間で150万トン超のCO₂排出削減を目指す。
同プロジェクトは今後5年間にわたって各国で展開されるもので、既に現地で導入が始まった。アグロフォレストリー化による再生型農業への転換を後押しし、総計2800万本以上の樹木植栽、7万2,000ヘクタール超のアグロフォレストリー農地の創出を目指す。これらの活動はofiのAI搭載カーボンストック・モニタリングツールを使って、樹木の地理情報や成長状況を厳密に追跡・検証する計画である。
具体的には、農家に対して「気候スマート」農業技術の研修、良好な農業慣行(GAP)の指導、作物残渣のコンポストやマルチング活用による土壌改良・GHG排出削減策を伝授。また、アフリカ地域サステナビリティ基準(ARS)やEUDR(欧州森林破壊防止規則)など、広域な環境・持続可能性課題への啓発も実施される。
さらに、森づくりや樹木管理を担う農家には金銭的報奨を提供し、取り組みへのモチベーションを高める。ofi開発のAtSource Digital Footprint Calculator(DFC)も活用し、炭素削減効果や生物多様性保全、土壌健康度などのデータをモニタリングする。
ネスレのココアプランマネージャー、ダレル・ハイ氏は「人が気候アクションの中心。気候スマート農業の導入を通じ、責任あるカカオ供給網づくりと2030年以降の気候目標達成を目指す」とコメント。ofiのグローバルヘッド、アンドリュー・ブルックス氏も「農家と共に気候変動への適応・緩和に挑戦し、持続可能なカカオ原料供給を強化していく」と述べた。
15年にわたるサステナブルカカオ分野での両社の連携を土台にした今回の共同プロジェクトは、ネスレの「ココアプラン」および2050年ネットゼロ目標、ofiの「Cocoa Compass」や「Choices for Change」戦略とも連動する。環境・経済両面で持続可能性の高いカカオ生産体制実現に向け、国際協力の新たなモデルとなりそうだ。
(原文)Nestlé and ofi launch global agroforestry partnership in largest collaboration yet
(日本語参考訳)ネスレとofi、アグロフォレストリーのグローバル・パートナーシップを開始。