SBTi、Corporate Net-Zero Standard改訂に向けた新たな専門家グループと公開協議を発表

2月10日、SBTi(Science Based Targets initiative)は、「企業ネットゼロ基準」の改訂に向け、より多くの企業や関係者の意見を反映させるため、新たなExpert Working Groupsの設置と2回目の公開協議を実施すると発表した。
SBTiは、改訂版基準の策定にあたり、専門家グループによる協議と2回の公開協議、さらにパイロットテストを実施し、企業にとって実行可能でありながら、気候変動対策を加速できる内容とすることを目指している。第1回の公開協議は2025年3月以降に開始される予定であり、すべてのステークホルダーが参加できる。
改訂においては、以下の主要な点が検討される予定である。
- カテゴリの明確化:企業の規模や地域ごとに要件を調整し、適用しやすい仕組みを導入する。
- 進捗の透明性向上:目標達成の進捗報告方法を明確化し、外部要件との整合性を強化する。
- Scope 3排出量:バリューチェーン全体の排出削減を促進するため、多様な指標や手法を検討する。
- 中和:残存排出量を管理するための除去目標の導入を強化する。
- 他基準との整合性:金融機関向けNet-Zero Standardなど、他のSBTi基準や規制との関係を整理する。
新たに設置されるExpert Working Groupsは、企業、学術界、市民団体の専門家で構成され、以下の5つのテーマについて詳細な議論を行う。
- Scope 2:購入電力の排出削減方法
- Scope 3:ターゲット設定と削減戦略
- Removals:炭素除去と炭素中和
- Ongoing emissions and BVCM:BVCM(バリューチェーンを超えた緩和, Beyond Value Chain Mitigation)の活用
- Data quality and claims:データ品質と保証、主張の正当性
SBTiは、Corporate Net-Zero Standard V2の初稿を2025年3月以降に公開し、少なくとも60日間の意見募集を行う予定である。その後、フィードバックを反映した改訂版を作成し、パイロットテストと2回目の公開協議を経て、最終版を発表する。今後のスケジュール詳細は、最初の公開協議の結果を踏まえて発表される予定である。
なお、現在のCorporate Net-Zero Standardは引き続き有効であり、企業はV1に基づく目標設定を推奨される。SBTiは、V2導入後も既存の目標設定を尊重し、追加の作業負担を最小限に抑える方針である。
【参照ページ】
(原文)Corporate Net-Zero Standard revision: SBTi releases new opportunities for stakeholders to input
(日本語参考訳)企業ネットゼロ基準の改訂:SBTiがステークホルダーに意見を表明する新たな機会を提供