GRIが新たな生物多様性スタンダード「GRI101:生物多様性2024」を発表

1月25日、国際的な持続可能性報告ガイドラインを策定するGRIは、2024年の生物多様性に関する新たなスタンダード「GRI101:生物多様性2024」をリリースした。新スタンダードは、2026年1月1日から公式に適用される予定であり、既存の「GRI304:生物多様性」は廃止される。ただし、この2年間は、自主的に早期採用する企業によって運用実証される。

新しい生物多様性項目のGRIスタンダードは、国際的な動きである国連昆明・モントリオール生物多様性枠組み(GBF)、科学的根拠に基づくターゲットネットワーク(SBTN)、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)などを基礎としている。

本スタンダードには以下の8つの開示項目が含まれている。

  1. 生物多様性喪失を中止し、再生する方針
  2. 生物多様性インパクト・マネジメント
  3. アクセスと利益共有
  4. 生物多様性インパクトの特定
  5. 生物多様性インパクトの場所
  6. 生物多様性喪失の直接的要因
  7. 生物多様性状態の変化
  8. 生態系サービス

GRIはスタンダードの策定にあたり、4つの重要な点に重点を置いている。まず、サプライチェーン全体での包括的な透明性。次に、国や管轄区域、事業所の場所や規模に関する詳細情報を含むインパクト場所の報告。3つ目は、生物多様性損失の直接的要因(土地・海洋利用変化、気候変動、直接採取、汚染、侵略的外来種)を対象とすることの明確化。最後に、地域社会や先住民族へのインパクトを含めた社会的インパクトも考慮されている。

本スタンダードのテクニカル委員会には、コノコフィリップス、DSM、ロクシタン、リオ・ティントの4社が企業から参加している。

【参照ページ】
(原文)Transparency standard to inform global response to biodiversity crisis
(日本語参考訳)生物多様性の危機への世界的対応に向けた透明性基準

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成しています。今後の動向により内容は随時更新され…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-20

    SEC議長、ESG株主提案の政治化に警鐘―「企業統治の本質に立ち返るべき時」

    10月9日、米証券取引委員会(SEC)のポール・S・アトキンス議長は、デラウェア大学のジョン・L・…
  2. 【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    2025-10-15

    【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    本記事は、ESG Journalを運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)のC…
  3. 【特別対談】サステナビリティ情報開示の進展が企業価値向上を実現。AI/テクノロジー活用への期待(後編)

    2025-10-15

    【特別対談】サステナビリティ情報開示の進展が企業価値向上を実現。AI/テクノロジー活用への期待(後編)

    本記事は、ESG Journalを運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)のC…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る