ムーディーズRMS、首都直下型地震の経済的損失を48.5兆円と推計

9月1日、金融情報世界大手米ムーディーズ傘下の米RMSは、関東大震災から100年を機に、「ムーディーズRMS日本地震・津波HDモデル」を用いて、1923年の関東大震災が今日再び発生した場合の経済的損失を発表した。被害価値は48兆5,000億円に達し、経済的損失額の3分の1強が保険でカバーできると推定された。この推定損失額には、物的損失と事業中断損失が含まれ、資材や労働力の価格上昇など、震災後の損失増幅要因も考慮されている。

1923年の地震では、マグニチュード7.9の地震が東京地方を襲った。合計すると、東京・横浜全域で30万棟近くの建物が倒壊し、約21万2000棟が焼失、約8万棟が倒壊、さらに約8万棟が半壊した。被害総額は55億~65億円と推定され、これは当時の日本のGDPの3分の1以上に相当する。強い地盤の揺れによる被害が深刻かつ広範囲に及んだが、地震によって発生した火災が都市のかなりの部分を襲い、さらに大きな被害をもたらした。横浜を含む東京全域で、建造物の70%が破壊されたと推定されている。

関東大震災は、東京、千葉、茨城、神奈川、埼玉、静岡、山梨の7都県に影響を与えた。地面の揺れは、北海道南部から中国・四国地方にかけての広い範囲で感じられた。死傷者は10万人以上と推定され、当時の首都圏人口の約2.5%を占めた。

関東大震災級の首都直下型地震が現在再び発生した場合、当時と比較すると、火災による被害は全体の7%に過ぎず、津波による被害はごくわずかという結果となった。1923年以降、道路が広くなり、より多くの大きな公園ができたため、火災の延焼や大火災への発展が緩和されたことが大きい。現在、東京の人口密集地では、人口密度は1923年当時の50%以下である。日本で建設される構造物に対する耐火・耐震設計要件が整備されていることも要因となる。

【参照ページ】
(原文)Moody’s RMS Provides 100-Year Retrospective of The Great Kanto Earthquake
(日本語参考訳)ムーディーズRMS、首都直下型地震の経済的損失を48.5兆円と推計

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