経産省、「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン(案)」に関するパブリックコメントの募集を開始
8月8日、経済産業省は「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン(案)」に関するパブリックコメントの募集を開始した。本案では企業に求められる人権尊重の取り組みについて、日本で事業活動を行う企業の実態に即して、具体的に解説している。
昨年、経済産業省がビジネスと人権に関する行動計画のフォローアップの一環として外務省と共同で実施した企業の人権に関する取組状況調査では、人権デューディリジェンスの実施率は回答企業の約5割に留まるなど、日本企業の取組にはなお改善が必要であることが明らかになるとともに、政府に対する要望として、ガイドライン整備を期待する声が多く寄せられた。また、同調査では人権尊重への取組が進んでいない企業の半数から、具体的な取組方法が分からないとの回答も寄せられた。
加えて、企業のみならず多くのステークホルダーからもガイドライン作成についての要望がある。このような状況を踏まえ、経済産業省は検討会を立ち上げ、サプライチェーンにおける人権尊重の取組について、業種横断的なガイドラインの作成に取り組んできた。今般、ガイドライン案を取りまとめたことから、パブリックコメントを募集するに至った。
本案によると、企業が人権尊重責任を果たす取り組みは、(1)人権方針の策定、(2)人権DDの実施、(3)人権への負の影響から生じた被害への対応(救済)の3つに分けられる。このうち人権DDは、1.人権への負の影響の特定・評価、2.負の影響の防止・軽減、3.取り組みの実効性の評価、4.説明・情報開示という一連の継続的なプロセスを指す。
8月29日までパブリックコメントを募集し、集まった意見を参考にガイドラインを確定するという。