3月24日、経済産業省は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、セメント、紙・パルプ分野における技術ロードマップを公開した。
経産省は、環境省、金融庁と共同して2021年5月に「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」を策定した。また、CO2多排出産業の2050年カーボンニュートラル実現に向けた具体的な移行の方向性を示すため、「経済産業分野におけるトランジション・ファイナンス推進のためのロードマップ策定検討会」を開催し、鉄鋼、化学、電力、ガス、石油に続き、今般、トランジション・ファイナンスに関するセメント、紙・パルプ分野におけるロードマップを提示した。
セメント産業は、原料を国内で賄える上に、建物や道路などインフラに欠かせない素材を供給している。また、廃棄物を熱源や原料として有効利用しており、循環型社会構築の役割を担っている。
セメント産業では、脱炭素社会の実現に向けて、プロセス由来CO2とエネルギー由来CO2の両面から削減に取組む必要がある。経産省が公開したロードマップでは、製造プロセスの省エネ・高効率化、原料転換、キルンの燃料転換、CCUS技術の利用など、プロセス由来CO2とエネルギー由来CO2、両面の削減にアプローチする技術が提示されている。
経産省によると、紙・パルプ産業は、生活必需品である紙・板紙製品を安価で安定的に供給する一方で、化石燃料への依存度が高く、は現時点でCO2多排出な産業分野であるため、紙・パルプ分野のネット・ゼロに向けた移行は不可欠である。
パルプ・紙の製造工程では、動力として電力を利用するとともに、蒸解・乾燥等の工程で多くの蒸気(熱)を利用する。石炭や重油等の化石燃料の割合も高く、自家発電割合も高い。課題解決のためには、製造プロセスの省エネ・高効率化、動力となるエネルギーについて電力の脱炭素化・脱炭素エネルギー由来のものへの転換、副産物を効率的に燃料利用する技術開発が必要である。技術ロードマップにはスマート林業も含まれている。
【参照ページ】脱炭素化への移行に向け、トランジション・ファイナンスに関するセメント、紙・パルプ分野におけるロードマップを取りまとめました