
7月7日、欧州委員会は「ネイチャークレジット」制度導入に向けた戦略的ロードマップを公表した。本枠組みは、生態系の回復や自然保全に貢献する個人や団体(農業者、林業者、漁業者、土地所有者、地域社会など)への報酬を通じ、民間資金を活用した環境保全の新たな手段として位置づけられている。公共資金だけでは不足する自然保護への資金を、民間投資によって補完することが狙いだ。
ネイチャークレジットは、生物多様性や気候変動対策における資金調達の革新的な手段として注目されており、EUのサステナビリティ目標達成に向けて重要な役割を果たすとされる。今回のロードマップでは、信頼性あるクレジット市場を構築するための手法開発、透明なモニタリング体制、強固なガバナンス構造の確立などが提示された。
さらに、EUは「Green Assist」制度を通じて、フランスの湿地再生、エストニアの森林管理、ペルーとの国際協力プロジェクトなど複数のパイロット事業を支援中である。これらは、クレジット制度の実用性を検証し、測定・検証方法や資金戦略の開発を進めることで、制度の拡大と定着に向けた土台を築いている。
(原文)EU publishes Nature Credits Roadmap to boost private investment in nature-positive actions
(日本語参考訳)EU、自然保護活動への民間投資促進を目的とした自然クレジットロードマップを発表