CA100+、石油・ガス企業のネット・ゼロ目標に向けた評価を公表

3月27日、気候変動アクション・イニシアティブClimate Action 100+(CA100+)は、石油・ガス企業向けのネット・ゼロ・スタンダード(NZS O&G)の評価結果を公表した。この評価は、2024年2月にCA100+に加盟している機関投資家にのみ公表されていた。

対象企業は、エクソンモービル(米国)、シェル(英国)、シェブロン(米国)、トタルエナジーズ(フランス)、コノコフィリップス(米国)、BP(英国)、オクシデンタル・ペトロリウム(米国)、Eni(イタリア)、レプソル(スペイン)、Suncor Energy(カナダ)である。

報告書によれば、投資家は企業の移行リスクを正しく評価するためには情報開示が不十分であると指摘している。トタルエナジーズが52%で最高のスコアを獲得したが、Suncor Energyは0%で最低であり、全体の平均は19%でした。さらに、IEAの2050年ネット・ゼロシナリオに合致している企業はなく、企業間でのばらつきも大きいと報告された。

欧州大手5社と北米大手5社を比較した結果、欧州大手企業の方が気候変動対策への情報開示を積極的に行っており、投資を増やしていることが示された。一方で、北米企業は気候変動対策を評価する指標の3%しか満たしていなかった。

企業ごとの移行戦略も異なっており、9社中2社しか具体的なメタン排出量削減戦略を掲げていなかった。また、1社は移行戦略を「中和(ニュートラライゼーション)」に依存していることが報告された。

同報告書では、石油・ガス企業に対して情報開示と移行計画の改善を求めており、「スコープ3を含む目標設定」や「移行計画の影響を考慮した生産量の予測」などの具体化を呼びかけている。特に、「北米企業における再生可能エネルギーを含む代替エネルギーの確保」の重要性を強調している。

【参照ページ】
(原文)CLIMATE ACTION 100+ PUBLISHES NET ZERO STANDARD FOR OIL & GAS COMPANY ASSESSMENTS ALONGSIDE ANALYSIS

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…
  2. TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2025-6-11

    TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2024年にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-…
  3. 進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    2025-6-6

    進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    サステナビリティ情報開示の高度化が急速に進んでいる。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)…

ピックアップ記事

  1. SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    2025-8-14

    SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    日本企業にとって、2026年から「気候変動対応・開示」は、企業価値を左右する重要な経営課題になるで…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-11

    バークレイズ、サステナブルファイナンスで累計2,200億ドルを達成

    7月29日、英国大手銀行バークレイズは、2025年上半期のサステナビリティ投資家向けプレゼンテーシ…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る