CO2から電池材料を製造するクリーンテック新興企業UP Catalyst、約6億円を調達

CO2から電池材料を製造するクリーンテック新興企業UP Catalystが約6億円を調達

12月6日、ナノテクノロジー企業のUP Catalystは、バッテリーメーカー向けの持続可能な代替原料で欧州の中国製炭素材料への依存度低減を支援する技術のスケールアップを目的として、400万ユーロ(約6億円)のシード資金を調達したと発表した。

2019年に設立されたエストニアに本拠を置くUP Catalystは、再生可能エネルギーを動力源とするカーボン・マイナス・プロセスで、重工業排出者から排出されるCO2リッチな排ガスを原料として、溶融塩炭素捕捉・電気化学変換技術を用いて持続可能な炭素材料を生産している。

今回のシード資金調達ラウンドで得た資金は、CO2を、そのエネルギー密度から電池の主要部品であるグラファイトに変換するためのパイロットリアクターの建設に使用される。パイロットリアクターは、年間100トンのCO2を処理し、27トンの炭素材料を生産する予定であり、UP Catalystは世界最大のグリーングラファイト供給企業になるという。

今回の資金調達は、中国による黒鉛輸出規制の発表を受けたもので、同社は、中国国内でのバッテリー原料の代替品探しが急務になっていると指摘した。中国は、世界の天然黒鉛の80%近くを生産しており、世界の黒鉛の90%以上を精製して、ほぼすべてのEVバッテリー用アノードに使用されている材料にしている。

今回の資金調達ラウンドは、ベルリンを拠点とする気候技術VCファンドのExtantiaが主導し、エストニアの国営ファンドSmartCapが支援したほか、既存投資家のSunly、Little Green Fund、Scottish Baltic Invest、UniTartu Venturesが引き続き参加した。本投資は、UP Catalystが生産能力を拡大するために重要な役割を果たすだろう。

【参照ページ】
(原文)UP Catalyst secures €4M in funding to reduce Europe’s reliance on Chinese carbon materials 
(日本語参考訳)UPカタリスト、欧州の中国製炭素素材への依存を減らすために400万ユーロの資金を確保

関連記事

“イベントへのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  2. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…
  3. 2024-3-26

    【さくっと読める】ESGスコアとは。基本的知識を解説。

    今月から、サスティナビリティ情報開示で関心の高いテーマについて、さくっと読める解説コラムを発行して…

ピックアップ記事

  1. 2024-4-18

    オーストラリア裁判所、グリーンウォッシュ訴訟でバンガードに有罪判決

    3月28日、オーストラリアの連邦裁判所は、バンガード・インベストメンツ・オーストラリアが、同社のE…
  2. 上場企業の40%以上がスコープ3排出量の報告を開始

    2024-4-15

    上場企業の40%以上がスコープ3排出量の報告を開始

    4月に発表した、投資データ・リサーチプロバイダーであるMSCIの新しいレポートによると、世界の上場…
  3. SBTi、ネット・ゼロ目標における炭素クレジットの役割拡大を認める

    2024-4-15

    SBTi、ネット・ゼロ目標における炭素クレジットの役割拡大を認める

    4月9日、科学的根拠に基づく目標設定イニシアティブ(SBTi)は、企業の環境持続可能な行動を気候変…

アーカイブ

ページ上部へ戻る