G77+中国サミット、多国間制度への支持を要請

9月15日と16日、G77と中国政府は、キューバのハバナで「G77+中国サミット」を開催した。最終日に共同声明を採択した。G77は1964年に発展途上国77か国で発足した国連のグループであり、現在は130以上の国と地域が参加している。

本サミットには国連のアントニオ・グテーレス事務総長も出席した。「途上国はここ数十年で何億人もの人々を貧困から救い出してきたが、現在、貧困と飢餓の増加、物価の高騰、債務の急増、気候災害の急増など、無数の危機に直面している」と言及。G77と中国の指導者たちに対し、「すべての人のために働く世界のために戦う」ことを訴えた。

事務総長は、本サミットのテーマである科学技術・イノベーションに関して、連帯を促進し、共通の問題を解決し、SDGsの達成に貢献できると述べた。 しかし今日、それらは不平等を煽り、分断を定着させることが多いと述べ、新型コロナウイルスのワクチンやデジタル技術へのアクセスにおける先進国と発展途上国の不公平を指摘。デジタル化の恩恵を全人類が享受できる国際的な規範として「グローバル・デジタル・コンパクト」を強調した。目下、グローバル・デジタル・コンパクトは、2024年9月に開催予定の「未来サミット」での公表に向け、国連加盟国間で交渉中である。

グテーレス事務総長は、金融もまた緊急のグローバル・アクションが必要な分野であると付け加えた。 気候変動資金の提供に触れ、先進国は2025年までに適応資金を倍増させ、グリーン気候基金を資本増強しなければならないとした。 また、今年11月に開催されるCOP28気候変動枠組条約締約国会議(COP28)において、G77と中国が提唱する「損失損害基金」の運用を開始するよう求めた。

最終日に採択された「ハバナ声明」では、現状の不公平な国際経済秩序がもたらす主要な課題として、脆弱な世界経済の見通し、食糧・エネルギーへの圧力の増大、移住、市場の変動、インフレ、金融引締め、対外債務負担の増大、極度の貧困の増大、国内及び国家間の格差の拡大、気候変動、生物多様性の喪失、砂漠化、砂嵐、環境悪化の悪影響、デジタル・デバイド(情報格差)を挙げた。

また、一方的な強制措置ではなく、ウィン・ウィンの協力関係を追求すべきであり、国際金融ガバナンスでも協調的なアプローチをとるべきとした。国際的な意思決定機関に発展途上国の代表を増やすことも求めた。また、ICTで独占的な地位にある国は、他国を抑圧する道具として活用すべきでないことも強調した。

【参照ページ】
SUMMIT OF HEADS OF STATE AND GOVERNMENT OF THE GROUP OF 77 AND CHINA ON “CURRENT DEVELOPMENT CHALLENGES: THE ROLE OF SCIENCE, TECHNOLOGY AND INNOVATION”

Guterres urges G77 and China to champion multilateralism ‘rooted in equality’

関連記事

“ランキングのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    2025-4-1

    ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    CSRD(企業サステナビリティ報告指令)のオムニバス草案が提出され、欧州の開示規則が変わる中、20…
  2. ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    2025-3-31

    ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-3-27

    【GPIF発表】「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」選定結果

    3月11日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国内株式の運用を委託している運用機関に対…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る