ニューヨーク市財務長官、大手銀行に対し、GHG排出量が多い部門における排出目標の設定を要請

NYCのLander会計監査官と市の年金基金、大手銀行に対し、GHG排出量が多い部門における排出目標の設定を要請

1月24日、ニューヨーク市財務長官は、Bank of America、Goldman Sachs、JPMorgan ChaseおよびRoyal Bank of Canadaに対して、2030年の温室効果ガス(GHG)排出量の絶対値目標を開示するよう求める株主提案書を提出したことを発表した。

Goldman Sachs、JPMorgan ChaseおよびRoyal Bank of Canadaの提案は、温室効果ガスの絶対量目標を、石油・ガスおよび発電分野への融資と引き受けに適用するよう求めている。ニューヨーク州共同退職基金と共同で提出したBank of Americaの提案は、GHG排出量削減目標が同社のエネルギー部門における融資と引受を対象とするよう要請している。

Net-Zero Banking Allianceのメンバーとして、これらの銀行は、絶対排出量および/または排出量原単位の目標に対する進捗を公表することを約束している。しかし、他の米国や外国の大手銀行が絶対的な排出量削減目標を設定しているのに対し、これら4行は排出量原単位の削減目標しかを設定していない。

原単位削減目標では、現実の世界で融資を受けた総排出量が減少したかどうかを把握することはできない。その結果、これら4行は2050年のネット・ゼロエミッションの目標を掲げているが、ポートフォリオ全体の排出量を考慮した中間的な削減目標を設定するという基本的なステップを踏んでいないといえる。本提案は、各銀行がネット・ゼロ目標の達成に向けて重要なステップを踏んでいることを株主に示すよう促すものである。

他の消費者金融は、すでに排出量の絶対量を削減するための中間目標を設定している。シティグループは2030年までにエネルギー部門の絶対排出量を29%削減することを約束し、ウェルズ・ファーゴは2030年までに石油・ガス部門の絶対排出量を26%削減する目標を設定している。その他、石油・ガスセクターの絶対量削減目標を持つ銀行としては、HSBC(34%)、ソシエテ ジェネラル(30%)、BBVA(30%)、ドイツ銀行(23%)などがある。

各提案は1年以内に報告書を発行するよう求めている。

【参照ページ】
(原文)NYC Comptroller Lander and City Pension Funds Call on Major U.S. and Canadian Banks to Set Absolute GHG Emissions Targets for High Emitting Sectors
(日本語参考訳)NYCのLander会計監査官と市の年金基金、大手銀行に対し、GHG排出量が多い部門における排出目標の設定を要請

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