ケンタッキー州、JPモルガン・BlackRock・Citiにダイベストメントの可能性を警告

ケンタッキー州、JPモルガン・BlackRock・Citiに 「エネルギー企業へのボイコット」でダイベストメントを警告

1月3日、ケンタッキー州財務長官アリソン・ボール氏は、JPモルガン・チェース、BlackRock、Citiグループが「化石燃料への投資」を止めなければ、ケンタッキー州政府機関から資産売却の可能性があると発表した。

本イニシアティブは、共和党寄りの数州の政治家による反ESG推進の動きの一つである。最近では、ケンタッキー州のダニエル・キャメロン司法長官を含む19人の司法長官が、 BlackRockが反化石燃料とネット・ゼロの議題を追求する中で「複雑な動機」で行動していると非難する書簡に署名した。テキサス州は、エネルギー企業のボイコットの疑いでいくつかの資産運用会社を投資売却の候補リストに載せている。

ボール氏は、財務省のウェブサイトの「ESGとの戦い」セクションに掲載されている声明の中で、州の産業が「一部の人間のイデオロギー的気まぐれによって、取り返しのつかないダメージを受ける」危険にさらされていると警告している。

今回の発表は、昨年ケンタッキー州総会で可決された、エネルギー企業ボイコットに従事する金融企業のリストを毎年公表することを義務付ける法案に続くもの。同法案は、化石エネルギー企業に対して、銀行が融資を拒否したり、機関投資家が2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにするよう圧力をかけたりして、投資家が投資先企業の環境目標を約束しないよう促すものであった。

法案によると、リストの公表後、州政府機関は、リストアップされた企業を直接または間接的に保有している場合、財務局に通知し、金融機関に通知を送ることが義務付けられ、その後、金融機関は「ダイベストメントの対象とならないよう、エネルギー企業のボイコット行為を中止しなければならない」とされている。

上場している金融機関の多くは、化石エネルギー系と再生可能エネルギー系両方の企業に融資し、投資している。例えば、JPモルガンは、American Electric Power、Duke Energy、Tennessee Valley Authorityなどの伝統的なエネルギー企業に融資を行っている。

エネルギー企業の「ボイコット」によるダイベストメントの可能性がある金融機関の全リストは、BlackRock、BNPパリバ、Citiグループ、Climate First Bank、Dankse Bank、HSBC、JPモルガンチェース、Nordea Bank、Schroders、Svenska Handelsbanken、スウェーデン銀行を含む。

【参照ページ】
(原文)JPMorgan, Citi among firms facing potential divestment by Kentucky over energy ‘boycott’
(日本語参考訳)ケンタッキー州、JPモルガン・BlackRock・Citiに 「エネルギー企業へのボイコット」でダイベストメントを警告

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る