環境情報開示NGOのCDP、世界的な水不足による座礁資産リスクを分析

9月1日、環境情報開示NGOのCDPは、水分野による座礁資産を分析したレポート「HIGH AND DRY」の日本語版を公表した。本レポートは、世界の水危機の結果として、 主要産業のグローバル企業がすでに何十億もの損失を出していることを示すものだ。

同レポートは、「石油・ガス」「電力」「石炭」「金属・鉱業」の4つのセクターに焦点を当て、水問題のために135億米ドル(約1.9兆円)の資産がすでに座礁し、20億米ドル(約2,800億円)がリスクにさらされていることを明らかにした。要因として、水関連規制の変更、高濃度の汚染、地域社会の反対などが挙げられている。

また、世界で最も水への影響が大きい42の企業と、株式保有や融資活動を通じて最も密接に関係している金融機関を別途特定した。

CDPの2020年および2021年の金融セクターデータセットによると、金融機関の3分の1はまだこの問題を認識しておらず、投資や融資の決定時に水の不安全性の影響を評価していないと報告されている。

本報告書では、金融機関が取るべき3つの重要なアクションを提示している。

リスクと影響の評価
企業は、産業、企業、株式、地理的な要因など、さまざまなレベルでリスクを特定するための新しいツールを活用すべきである。

データの開示
透明性を高めることは、水に関するリスクを理解する上で非常に重要である。多くの規制当局は、環境危機に対応するため、すでに情報開示の義務付けを進めている。金融機関はこうした規制に先立ち、自社のポートフォリオの水リスクと影響を開示する必要がある。

リスクと影響の管理
企業は、企業が水危機に対処する必要性を伝えるエンゲージメント戦略を作成する必要がある。金融機関は、投資先企業に対して、水に関する開示の充実を支援するよう圧力をかけ、このエンゲージメントの影響を測定する必要がある。

【参照ページ】
HIGH AND DRY 水問題による座礁資産

関連記事

“セミナーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. ESGセミナー・イベント一覧(2024年11月以降)

    2024-11-18

    ESGセミナー・イベント一覧(2024年11月以降)

    サステナビリティを推進には新しい知見の収集が必須。しかし、必要なセミナー情報を見つけるのに時間がか…
  2. ISSA5000とサステナビリティ保証:企業が今すぐ始めるべき対応ポイント

    2024-11-18

    ISSA5000とサステナビリティ保証:企業が今すぐ始めるべき対応ポイント(再掲)

    サステナビリティ情報、非財務情報、ESGデータなど企業のサステナビリティの取り組みを示す情報は、投…
  3. 2024-11-15

    【PR】12/3 記念イベントESG評価スコア改善『S&Pに聞く!2025年に向けたCSA徹底解剖』 (オンライン)

    いつもESG Journal Japanをご覧いただきましてありがとうございます。 ESG評…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る