11月29日、日産自動車株式会社は「Nissan Ambition 2030」を発表した。このビジョンでは自動車の電動化を新たな長期戦略の中核に据え、今後5年間で2兆円の投資を計画しており、EVラインナップの充実と技術革新に注力していく。
この新戦略は、今年初めに発表した「2050年までに製品のライフサイクル全体でカーボンニュートラルを達成する」という日産の長期目標をサポートするものだ。
今回の発表は、世界の自動車メーカーが世界のEVへの投資を劇的に増やす準備が整ったことを受けたものだ。9月には、フォードが電気自動車とバッテリーの新工場に数十億ドルを投資する計画を発表し、GMは2025年までに電気自動車とAV事業に350億ドルを投資することを約束している。
【参考記事】世界の自動車メーカー、EVとバッテリーに約59兆円の予算を設定
日産は、電動化推進のための重点分野として、大量かつ低コストのバッテリー生産の開発、EVラインナップの大幅な拡大、現地生産・現地調達の確立などを挙げている。
電池に関しては、日産は2028年までに65%のコスト削減を目指すと述べており、独自開発の全固体電池(ASSB)を2028年までに発売し、充電時間を3分の2に短縮する。また電池パックのコストを75ドル/kWhとし、将来的には65ドル/kWhまでさらにコストを下げ、ガソリン車との同等性を実現する計画だ。同社は世界の電池生産能力を2026年までに52ギガワット時、2030年までに130ギガワット時に引き上げることを目指している。
また、2030年までに日産ブランドとINFINITIブランドのグローバルでの電動化率を50%にすることを目指し、同年までに15台の新型EVを含む23台の新型電動化モデルを投入する。日産は2026年までに、欧州では電化製品の販売比率を75%以上、日本では55%以上、中国では40%以上に成長させる方針だ。米国では、2030年までに電動化比率を40%にすることを目指している。
これらに加え、日産はEVの競争力を高めるために、製造や調達の現地化を進めることを発表した。その一環として、英国で立ち上げたEVハブコンセプト「EV36Zero」を日本、中国、米国などの市場に拡大する。またバッテリー再生施設を日本以外にも拡大し、2022年には欧州、2025年には米国にも設置する予定だ。