消費者庁、「日本版包装前面栄養表示」案で意見募集 健康的な食環境づくりへ新指針

9月22日、消費者庁は加工食品などの容器包装の前面に栄養情報を分かりやすく表示するための新たな指針「日本版包装前面栄養表示ガイドライン」案を公表し、国民からの意見募集を始めた。募集期間は10月21日までで、寄せられた意見を基に最終案の検討を進める。

現在、食品の栄養成分や熱量は「食品表示基準」に基づき表示が義務付けられているが、多くの場合は商品の裏面に記載されており、視認性の低さが課題となっている。欧米やアジアの一部では、消費者が健康的な選択をしやすくする目的で、包装の前面に栄養情報を示す「フロント・オブ・パック(Front-of-Pack, FOP)表示」が普及している。これを踏まえ、国際食品規格委員会(コーデックス委員会)は2021年に包装前面栄養表示の国際ガイドラインを採択している。

日本でも、2024年度に始まった「健康日本21(第三次)」を契機に、健康的で持続可能な食環境づくりが政策の柱と位置づけられている。こうした流れを受け、消費者庁は2024年度から有識者による検討会を設置し、国内に適した栄養表示のあり方を議論してきた。その成果として今回、「日本版包装前面栄養表示ガイドライン」案を取りまとめた。なお、このガイドラインは既存の「食品表示基準」に新たな義務を追加するものではなく、あくまで任意の目安として示される。

意見の提出は電子政府の総合窓口「e-Gov」からオンラインで受け付けるほか、郵送でも可能。郵送の場合は「〒100-8958 東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎第4号館6階 消費者庁食品表示課 意見募集担当」宛に送る。封筒の表面には朱書きで「『日本版包装前面栄養表示ガイドライン』案について」と明記する必要がある。電話での意見受付は行っていない。

提出された意見は、日本語に限り受け付けられる。個別の回答は行わないが、内容を検討のうえで最終案作成の参考とする方針だ。意見の一部は、個人情報を除いた形で公表される予定である。

消費者庁食品表示課の担当者は「生活者がより簡単に栄養バランスを意識できるようにすることが目的。国際動向も踏まえ、日本の食文化に合ったわかりやすい制度設計を目指す」としており、具体的な表示方法やデザイン案なども今後の検討課題になる見通しだ。

(原文)「日本版包装前面栄養表示ガイドライン」案に関する意見募集について

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-8

    欧州委員会、サステナビリティ報告関連法規(第三国ESRS)の制定を延期へ

    10月6日、欧州委員会は金融サービス分野における115の「重要ではない2次法(regulatory…
  2. 2025-10-7

    投資家が注目する「気候対応」クライメイトウィーク2025が示した新潮流

    9月21日から28日まで国連総会と並行して開催されたクライメイトウィークNYC 2025は過去最大…
  3. 2025-10-6

    PwC調査:サステナビリティ報告圧力は強まる、AIの活用が前年比で3倍増

    9月25日、PwCは「Global Sustainability Reporting Su…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る