8月31日、環境省所管の脱炭素化支援機構(JICN)は、坂ノ途中に対する支援決定及び出資を発表した。今回で出資7社目となる。
坂ノ途中は、京都市で2009年に創業し、新規就農者を中心とした提携生産者が栽培した農産物の販売プラットフォームの運営や、就農者に対する作付計画や品種選定等の科学的判断材料の提供を通じた環境負荷の小さい農業の普及を実施している。また、東南アジアを中心として、森林保全と所得向上の両立を目指すコーヒー栽培支援も行っている。
脱炭素化支援機構(JICN)は、 脱炭素投資への呼び水として脱炭素に資する多様な事業への投融資を行う株式会社である。同機構は、脱炭素化に貢献するものの前例に乏しく投融資の判断が難しい、認知度が低く関係者の理解が得られにくい、等の理由から民間での資金調達が難しい事業に対しても資金供給を行い、民間資金の呼び込みを図っている。
今回の支援決定に係り、JICNは3点の政策的意義を説明している。1点目は「温室効果ガス削減の観点」からで、有機農産物を中心に扱うEC事業を成長させることで、製造過程において CO2排出を伴う農薬、化学肥料を用いず、堆肥や緑肥などの有機物の継続的な施用等を通じた炭素貯留効果のある有機栽培の普及拡大を促し、農業由来の GHG 排出の削減に貢献することを期待している。また、環境負荷の小さい農業に取り組む新規就農者の増加や経営安定化を通じて、「みどりの食料システム戦略」の実現にも寄与することを見込んでいる。
2点目は「経済と環境の好循環の観点」からで、有機栽培における多品種少量生産に対応可能な小ロットでの取引システムを構築し、有機栽培の新規就農者に対して安定的な所得をもたらすこと、有機栽培を志す若年層の新規就農者の経営安定へ貢献することを通じ、地域への新規就農者定着を促進し、地域の活性化に貢献することを期待している。
3点目は「生物多様性の観点」からで、環境負荷の小さい有機栽培の普及を通じ、生物多様性を守り、持続可能な社会の形成に寄与すると予測している。