経産省、脱炭素化への移行に向け、トランジション・ファイナンスに関する自動車分野におけるロードマップを策定
- 2023/4/11
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- ESG, カーボンニュートラル, トランジション・ファイナンス, 再生可能エネルギー, 脱炭素
3月30日、経済産業省は、トランジション・ファイナンスの推進を目指し、脱炭素への移行に向けた分野別の技術ロードマップを策定し、自動車分野についてとりまとめたことを発表した。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、再生可能エネルギー等の既に脱炭素の水準にある取組に加えて、CO2排出削減が困難な産業(Hard-to-Abate産業)が着実に脱炭素化に向かうための移行(トランジション)の取組への資金供給を促進していくことが重要である。
経済産業省は、環境省、金融庁と共同して2021年5月に「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」を策定した。本指針は、「トランジション・ボンド/ローン」とラベリングをするための基本的考え方を整理したものである。
さらに、経済産業省では、Hard-to-Abate産業の2050年カーボンニュートラル実現に向けた具体的な移行の方向性を示すため、「経済産業分野におけるトランジション・ファイナンス推進のためのロードマップ策定検討会」を開催し、鉄鋼、化学、電力、ガス、石油、セメント、紙・パルプに続き、今般、トランジション・ファイナンスに関する自動車分野におけるロードマップを取りまとめた。2021年10月以降策定した経済産業分野計8分野及び海運・航空分野のロードマップで、日本国内のCO2排出量の約8割をカバーすることとなった。引き続き、これらロードマップの活用を通じて、Hard-to-Abate産業分野におけるトランジション・ファイナンス等による資金調達が活発化することが期待される。
本ロードマップでは、我が国の2050年カーボンニュートラル実現に向けて、科学的根拠に基づいて、現状利用可能な省エネ・高効率化、燃料転換等の着実な低炭素への取組に加え、将来的な革新技術についても、国内の各政策、国際的なシナリオ等を参照し、背景や時間軸とともに表している。
特に、自動車分野については、自動車製造等の事業活動に伴う直接・間接排出(Scope1、2)よりも、事業活動に関係する他者の排出(Scope3)、具体的には自動車ユーザーによる車両走行時の排出の割合が突出して多いことが特徴であり、製品製造やエネルギー源製造・供給における排出削減のみならず、自動車の使い方に変化をもたらす対策も含めたロードマップとなっている。企業がトランジション・ファイナンスを活用した気候変動対策を検討するにあたり、本ロードマップを参照することを想定している。また、金融機関等においては、企業が資金調達を行う際に、脱炭素に向けた企業の戦略・取組がトランジション・ファイナンスとして適格かどうかを判断する際の一助になると考えている。
【参照ページ】
脱炭素化への移行に向け、トランジション・ファイナンスに関する自動車分野におけるロードマップを取りまとめました