サスティナビリティ情報開示基準(ISSB,CSRD)統一され進展!欧州、米国・日本の基準の動向を紹介

サスティナビリティ(非財務情報)に関する情報開示が主流化しているものの、これまで「国際的に共通」した定義や概念は存在していないのが実情である。各企業は、様々な外部機関や評価機関の基準を参照しながら、情報開示をしているのが現状だ。それぞれが個別最適に実施してきており、一部では「任意」であったサスティナビリティ関連情報開示だが、欧州、米国、日本において、基準統一や制度化の動向が見られるようになった。本稿では、基準統一や制度化の動向の概要について紹介する。

(参考)「サステナビリティ開示規制最新動向解説」をESGジャーナル内で無料ダウンロード

サスティナビリティの情報開示の変遷ー乱立から統一へー

サスティナビリティ開示基準というとGRIやISO26000などを想像するだろうか。サステナブル部門の担当者なら実感があるだろうが、2000年以降、様々な基準が乱立している。

最も古くに発行され世界的な認知度が高いのは、2000年発行のGRI(Global Reporting Initiative)のガイドライン、そして2002年のCDP(Carbon Disclosure Project)だろう。2013年のIIRC(International Integrated Reporting Council)による統合報告や、2017年のTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)と、まさに乱立状態である。

こうした乱立状態にあるのは、国際的に「ESG情報」に対する投資家の関心の高まりがある。投資家が、企業のサスティナビリティへの取り組みが企業価値に与える影響を重視するというニーズに応えるために、様々な外部機関が基準を次々に発行し、乱立化が進んだ。

欧州・米国・日本での開示基準が変化していく(2024年以降~)

投資家のサスティナビリティ情報開示に対するニーズが高まる一方で、投資家も、開示基準が多くありすぎて「横並び」で比較することが難しい状態になりつつあった。こうしたことから、2010年代半ばから、欧州や米国や日本においても基準の統一化や制度化の動きが加速するように。特に、2021年にCOP26でIFRSが主導となりグローバルレベルでの統一基準を設置することになり、2023年には開示基準を公開しており、各国基準に応じた整備が進んでいくことになる。

※細かな動向の内容は、ESGジャーナルで無料でダウンロードできる「サステナビリティ開示規制最新動向解説」をご参照。

<グローバル(米国)>ISSB

・ISSBとは?

International Sustainability Standards Board(国際サステナビリティ基準審議会)は、IFRSが新たに設立した「サスティナビリティ情報(非財務)」の統一開示基準を設定する団体で、IIRCやSASBなどのガイドライン公開していた団体同士が統合されている。

・どんな基準か?

サスティナビリティマネジメントに関する事項(IFRS S1)と、気候変動などのテーマに関する事項(IFRS S2)に分かれている。また、産業別での要求開示事項もある。

・SSBJとは?

Sustainability Standards Board of Japan(サステナビリティ基準委員会)は、ISSBの開示規準公開を受けて、「日本のサステナビリティ開示基準」の開発に向けたプロジェクトを実施。2025年を目処に基準を公開予定。

<欧州>CSRD/ESRS

・NFRDとは?

Non-Financial Reporting Directive(非財務及び多様性情報の開示に関する改正指令)EUは、2014年以降、従業員500名以上の企業を対象に非財務情報の開示を要求しており、各国では法令化や制度化が進んでいる。

・CSRDとは?

Corporate Sustainability Reporting Directive(企業サステナビリティ報告指令)は、2023年1月に発令されており、NFRDの対象を小規模企業や外国企業までとする指令。CSRD

が発効されてから、1年半内には各国での法令化が進む予定である。

重要なのは基準に対する理解と迅速な対応

国際的に開示基準統一の動向がある一方で、詳細に内容を見てみると、これまでの開示基準と大きく異なり全く新しい基準が公開されているわけではない。しかし、海外企業との取引や海外事業(現地法人)など、ビジネスへ影響を受ける可能性がある。まずは、開示基準への理解と対応スケジュールを事前に把握しておくとよいだろう。

今後も、サスティナビリティ情報開示の動向は変化し続けていく可能性が非常に高い。そのため、担当部門はその著しい変化に関する情報を常に収集しておくとよいのではないだろうか。


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