リチウムイオン電池の不適切排出で火災事故多発 国が回収・処分実態を調査

6月25日、総務省はリチウムイオン電池(LIB)等の回収・再資源化に関する調査結果を公表した。LIB搭載製品の利用拡大と多様化に伴い、市区町村の回収ごみに混入したLIB等が原因で焼却施設や処理施設での火災事故が相次ぎ、社会生活への影響が懸念されている。市区町村の火災事故減少と再資源化推進の観点から、国は関係機関の取組実態を調査した。

調査では、43市の不燃ごみ等に混入した約2,900点のLIB製品を分析。その結果、加熱式たばこ、携帯電話、モバイルバッテリー、電気かみそり、電気掃除機が多く含まれていた。市区町村からは、LIB等の回収・処分に伴う財政負担、処分事業者確保の難しさが課題として挙げられ、処分先が見つからず埋立て、焼却、または一時保管を余儀なくされている実態も確認された。さらに保管方法が適切でない例や、安全な保管・処分方法を求める声も寄せられた。

当省試算によると、住民のLIB排出の過半が市区町村経由である可能性があり、回収したLIBの4~5割程度が焼却・埋立て・ストックされている可能性がある。国は経済産業省および環境省に対し、製品メーカーによる自主回収対象品目の追加、市区町村への適切な情報提供、住民の排出実態解明の推進を要請した。

(原文)リチウムイオン電池等の回収・再資源化に関する調査 <結果に基づく通知>

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