【ESG 企業分析⑦】ESG説明会が高評価!着実に進化を続けるオムロンのサスティナブル経営

本記事はESG / SDGsに力を入れて取り組んでいる上場会社の事例を取り上げるシリーズになります。

第7弾として、本日はオムロン株式会社(以下、オムロン)を取り上げたいと思います。

オムロンについて

制御機器・FAシステム、電子部品等を研究開発・製造・販売。制御機器や駅務機器、住宅向け太陽光パワコンでは国内トップシェア。家庭用電子血圧計、リレーでは世界トップシェア。グローバルに事業展開を行い、中国・アジア中心に海外生産拠点を有す。

出所:SPEEDA

CSR/ESGにおける対外的評価

東洋経済CSRランキング

2021総合ESG企業ランキング:2位(2020年の3位からワンランクアップ!)

出所:「CSR企業白書2021」(東洋経済新報社、2021年4月)

優れた統合報告書(GPIF調査):4運用機関が選定

・SINIC 理論に基づきソーシャルニーズの創造を目指すという高い企業理念経営を進めている。社長メッセージの企業理念を”解放する”発想は秀逸。理念経営が高いレベルに達していることを確認できる。
・ここまで開示して競争上問題が生じないのか心配になるほど情報が充実し、投資判断資料として有用。まねできないビジネスモデルのある企業は開示も積極的という好例。
・会長メッセージにおいて、取締役会議長として、主力事業の一つである車載事業を譲渡するプロセスへの取締役会の関与について振り返る形で記載。取締役会が有効に機能していることがよく分かる内容

出所:「GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」GPIF(2021/2/24)

オムロンの企業理念

オムロンでは1959年に創業者・立石一真が、「企業は利潤の追求だけではなく、社会に貢献してこそ存在する意義がある」という企業の公器性に基づいた社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を制定しました。1990年には、社憲の精神を受け継いだ企業理念を制定し、全社員が日々の活動の中で実践することで、求心力の原点にするとともに、発展の原動力としています(オムロンの企業理念の詳細はこちら)。

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オムロンは、企業理念実践のもと、事業を通じて社会的課題を解決して行くことで、よりよい社会の実現に貢献していくことを使命としています。そのために、企業理念に基づく経営のスタンスを宣言し、3つの柱を立てています。1つ目は事業を通じた社会的課題の解決を目指すロードマップとなる10カ年の長期ビジョンと中期経営計画の策定と実行です。2つ目が、ステークホルダーから期待される社会的責任を果たすための土台となるオムロングループマネジメントポリシー。そして最後が、ステークホルダーとの対話を通じて共に企業価値の向上を目指すエンゲージメント活動の展開です。オムロンでは、ESG情報開示を含むステークホルダーとの対話がよりよい社会づくりに繋がると考えています。

出所:会社公開情報、JPX「上場会社のESG情報開示事例」

ESG説明会の定期的な実施

オムロンは2017年度より、「ESG説明会」と称して、サステナビリティと環境への取り組みとエネルギソリューション事業、気候変動に対する取り組みに関するIRを実施しています。

ESG説明会(2020年度) | オムロン

①サステナビリティに関する取り組み

オムロンは2016年のパリ協定の発行を受け、2018年7月に「オムロン カーボンゼロ」を設定すると同時にSBTイニシアチブ*への参画を表明しました。2050年に温室効果ガス排出量ゼロを目指しているそうです。

2019年2月にはTCFD* への賛同も表明しています。TCFDに関しては別記事でもまとめていますので興味がある方は以下リンクよりご覧ください。

気候変動に関する情報開示「TCFD」と日本の賛同企業

毎年着実にサステイナビリティに関する具体的な取り組みを行い、投資家に対してもしっかりとコミュニケーションをしている、オムロンの資料からはそんな印象を受けます。

また企業理念に基づいて、環境ビジョンも策定しています。環境にフォーカスしたビジョンを打ち出している上場企業はかなり珍しいのではないでしょうか。

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②エネルギーソリューション事業

オムロンはエネルギーソリューション事業におけるミッションとビジョンを以下資料にて非常に分かりやすく打ち出しています。

ESG説明会においても、資料に基づき以下のように明確に述べていました。

「再生可能エネルギーを最大限普及させることで、地球温暖化による災害や環境破壊を抑え、有限な化石エネルギーに依存しない安心・安全・快適に生活できる豊かな社会づくりに貢献していきたい。」

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また再生可能エネルギーを大量導入することで発生する課題とその対応策についても整理し、資料に落とし込んでいます。

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TCFDに基づいた積極的な開示

気候変動への取り組みは先程述べたTCFDの枠組みに沿った開示を行う、と述べており、TCFD上で推奨されている「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」それぞれに対して具体的なアクションを起こしています。

1. ガバナンス

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2. 戦略

世界各国で宣言されている包装材におけるプラスチックごみ削減に追従し、主力事業の制御事業における施策を発表しています。達成した削減数値を記載しているのも非常に印象的です。

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3. リスク管理

オムロンではグローバルにリスクを分析し、毎年マテリアル(重要)リスクを特定して対策を取っています。またESG説明会では以下のように述べており、気候変動分野においては様々なリスクが綿密に絡み合っているため、幅広くリスクの関連性を捉えることの重要性を主張しています。

「自然災害の頻発・激じん化は生産拠点の操業に係るため、物理的リスクの対応が必要になると同時に、サプライヤーや顧客といったバリューチェーンへの影響が大きく、事業戦略・財務戦略にも関わってくる。」

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4. 指標と目標

最後に指標と目標ですが、GHG(温室効果ガス)排出量に関しては、当初の削減目標(4%)を大幅に上回り、51%削減を達成する見込みです。主な要因としては自社の太陽光発電・再生可能エネルギー由来の電力調達LED化などによる省エネ取り組みだけに留まらず、オムロンオートモーティブエレクトロニクスの株式譲渡も大幅に貢献しているようです。

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いずれの目標も全て計画通りに進めており、結果を伴った非常に印象の良い発表であったことが伺えます。

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出所:ESG説明会資料

最後に

今回は上場会社のESG情報開示事例として、オムロン社を取り上げさせて頂きました。ユニークな取組みとして、年1回の「ESG説明会」を継続的に実施しており、環境周りの取り組みにおいてもビジョンとミッションを設定し、結果もしっかりと出している企業と言えます。東洋経済のCSRランキングでも2位に位置するなど、この分野では機関投資家を始めとするステークホルダーからも良い評価を得ているのではないでしょうか。

ESG説明会に関してはEに関する比重が大きいように見えますが、SocialやGovernanceの部分に関しても2020年度の「サステイナビリティ課題と目標」や毎年発表される「統合レポート」等でしっかり開示しています。

また本記事以外でも様々な企業のESG開示を分析しているので、お時間がある方は前回の積水化学も是非ご覧ください。また次回は日立です。

【ESG 企業分析⑧】GPIFや環境省から高評価!日立製作所のESGへの取り組み

【ESG 企業分析⑥】ESGへの投資額は400億円!国からも評価される積水化学のESG経営戦略

よろしくお願いします!

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