9月7日、キリンホールディングス株式会社は、明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室との共同研究で、減塩食品の塩味を約1.5倍に増強させる独自の電流波形を開発し、本技術を搭載したスプーン、お椀型の「エレキソルト」デバイスを開発した。
キリンが首都圏在住の方を対象として実施したアンケートでは、塩分を控えた食事(減塩食)を行っている/行う意思のある人の内、約63%が減塩食に課題を感じており、その内約8割の方が味に対する不満を抱えていることが判明した。減塩食をおいしく続けることができれば、顧客の健康課題の改善や、減塩・無塩関連市場のさらなる拡大につながる可能性がある。
本課題に対して、キリンは2019年から宮下芳明研究室と共同で、人体に影響しないごく微弱な電流を用いて疑似的に食品の味の感じ方を変化させる「電気味覚」の技術の活用について研究を行ってきた。その研究成果として、減塩食の味わいを増強させる独自の電流波形を開発し、減塩をしている/していた経験のある方を対象にした臨床試験で、減塩食を食べたときに感じる塩味が約1.5倍程度に増強されることを世界で初めて確認した。
キリンの調査では、減塩に取り組む人が、「薄味ではなく濃い味で食べたいもの」は、1位がラーメン、2位がみそ汁となった。これらの減塩において顧客が抱えている我慢を解消し、食事をより楽しんでもらうことを目的として、今回、ラーメンや汁物を食べるのに適した「エレキソルト -スプーン-」「エレキソルト –椀-」の開発に至った。
キリンは本デバイスと塩分を控えた食事をセットで提供して食事満足度を評価する実証実験を、株式会社ノルト、株式会社オレンジページと共同で、9月から開始する。