3月29日、ワールド・ベンチマーキング・アライアンス(WBA)は、世界有数の環境情報開示システムであるCDPと提携し、不動産において影響力のある50社を評価した。
発表された最初のビルディング・ベンチマークでは、ほとんどの不動産開発会社、管理会社、建設会社が、排出量目標と気候変動移行計画の両方を策定していないことが判明した。
不動産セクターは、世界の排出量の37%を占めている。重要な産業が気候変動対策の進捗と計画の欠如に陥っている事実は、世界が壊滅的な温暖化の瀬戸際にあると警告した国連の最新の気候変動に関する政府間パネル報告書に照らして、憂慮すべきであると指摘している。
ビルディング・ベンチマークは、有害な排出が多くの不動産の設計と建設に組み込まれるという状況に対し、業界全体で緊急の対策を取る必要性を強調している。現状では、評価対象となった企業の54%は気候変動対策計画を策定しておらず、44%は排出量削減の目標設定すらできていない。
本評価では、気候変動対策を推進する低炭素移行評価(ACT)手法を使用し、科学的根拠に基づいた先進的な指標で企業をベンチマークしている。
評価対象企業は、JLL、ブルックフィールド、中国恒大集団(China Evergrande)、碧桂園(Country Garde)、緑地控股(Greenland Holdings)、ヴォノビア、新世界発展(New World Development)、セグロ、ユニベイル・ロダムコ・ウエストフィールド、アヤラ、ジェシナ、現代E&C、レンドリース、LEG Immobilien、マクロテック、ゴドレジ、三菱地所、三井不動産、住友不動産、プロロジスなどである。
大規模な開発・建設活動を行う32社のうち、納入された建物の使用中排出量を含むネット・ゼロ目標を掲げているのは5社(16%)(アヤラ、ジェシナ、現代E&C、レンドリース、プロロジス)のみ。しかし、どの企業も、目標年次までにネット・ゼロに対応したビルのみの提供に向けた期限付きのロードマップは公表していない。
気候変動に対するマネジメントがネット・ゼロの未来に最も合致している企業は、ジェシナ、JLL、URW、HDEC、三井物産であった。これらの企業はすべて、フランス、米国、韓国、日本といった、2050年以降のネット・ゼロ排出量目標を設定している国に本社を置いており、変化を加速させるための国の政策や規制の重要性が明らかとなっている。
同社は2023年中に、石油・ガス、電気事業、重工業の各分野を対象に、さらに3つのベンチマークを発行する予定。
【参照ページ】
(原文)Research reveals building sector is dangerously behind on climate progress and planning for net-zero
(日本語訳)WBA、不動産における気候変動対策の遅れを指摘