【解説】ESGアクティビズムとは?「物言う株主」の国内外動向と情報開示実務として認識しておきたいこと

サステナビリティ先進企業であればあるほど、投資家からの期待と関心が高くなる。これまで気候変動や自然資本といった個別テーマで論じられてきた課題が、近年ではサプライチェーン全体のリスク管理やその実効性をめぐる問いへと統合・拡張しつつある。

先月話題となった、日本のサステナビリティ先進企業・花王株式会社(以下、花王社)とアクティビスト投資ファンド「オアシス・マネジメント(以下、オアシス)」の一件は、その一例といえる。本件は、ESG評価の高い先進企業ですら、サプライチェーン管理の実効性と情報開示を投資家に正面から「精査」される時代に入ったことを示す注目すべきケースだ。

しかし、企業のサプライチェーンリスクについて「物言う株主」が動くのは、決して新しい現象ではない。こうした「株主アクティビズム」は、国際的に近年も続いており、一部の欧州企業はすでに「アクティビスト対応」を見据えたサステナビリティ情報開示へと進化している。

本稿では、サプライチェーン・ESGアクティビズムの背景とこれまでの国内外動向を解説し、サステナビリティ情報開示の実務として認識しておきたい論点を整理する。

ESG株主アクティビズムとは

株主アクティビズム(shareholder activism)とは、企業の株式を保有する投資家が、その議決権や影響力を行使して、企業の経営方針・戦略・ガバナンスの変更を求める行為を指す。

ESGアクティビズムとは、ESG分野における株主アクティビズムであり、2010年代後半から影響力を増してきている(RBC Capital Markets調べ)。米国の株主アドボカシー団体As You Sowが発行する「Proxy Preview 2025」レポートによれば、米国の政権交代に伴いESG関連の株主提案件数は2024年比で減少しているものの、その中で最も多いカテゴリーは引き続き気候変動をテーマとした提案だという。

ESGアクティビストは大きく以下の2つのタイプに分けられる。

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続きでは、ESG株主アクティビズムの背景と国内外の代表的事例、そして日本企業のサステナビリティ情報開示担当者が「物言う株主」時代に押さえておきたい実務ポイントを整理しています。今後の株主との対話、情報開示のあり方を検討する際にぜひご活用ください。

・ESG関連の株主アクティビズムを後押しした潮流と、海外の代表的事例
・日本における事例と動向と事案からの示唆
・投資家との対話を意識した開示の海外事例
・投資家との対話を見据えたESG情報開示における実務ポイント

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<執筆者

マルティネス リリアナ(ESGJournalスペシャリストライター)
サステナビリティ学修士。シンクタンクにて、海洋・大気環境分野を中心とした環境政策・制度検討支援(調査・分析)に従事。また、国際海事機関(IMO)における海洋環境関連条約の技術・政策議論にTechnical Advisorとして参画した経験を持つ。その後、 Big4ファームにて、気候変動、ネイチャー課題を中心とした企業向けアドバイザリー業務に従事。現在は非財務情報開示フレームワークからサステナビリティを巡る国際動向まで、企業実務の視点からオリジナル解説およびホワイトペーパーを執筆。

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