ISSB、自然関連開示で独立基準を見送り 企業実務への負担を意識か

5月13日、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は、Nature-related Disclosures(自然関連開示)について、独立した新基準ではなく「IFRS Practice Statement(実務記述書)」として開発する方向で議論を進めた。ISSBは現在、生物多様性・生態系・生態系サービス(BEES)プロジェクトを研究段階から標準設定フェーズへ移行しており、今後は投資家向けの自然関連リスク・機会に関する開示要求の整備を進めている。

自然関連開示の基準化プロジェクトは、IFRS S1「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する一般要求事項」およびIFRS S2「気候関連開示」を補完する位置づけとなる。なお、ISSBによれば、企業の自然資本への依存や影響が、中長期的な企業価値や財務的リスクに与える影響について、投資家の情報ニーズが高まっていると説明している。

また、ISSBの4月会合において、自然関連リスク開示では「ロケーション情報(地域特性)」が重要になるとの考え方が示され、自然関連リスクは地域ごとの生態系や水資源、土地利用状況などに強く依存するため、資産や事業活動の所在地がリスク・機会の識別に重要になるとしている。さらに、開示粒度や集約レベルについて追加ガイダンスを設ける方向性も確認された(※公開草案は2026年10月頃が見込まれている)。

ISSBは、気候関連開示で重視されたレジリエンス評価やシナリオ分析の考え方を、自然関連リスクにも応用する方向性を示唆している。ただし現時点では、TNFDのLEAPアプローチや自然資本版シナリオ分析を一律に要求する方針までは示していない。

ISSBは、これまで、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)やSASB基準、GRI、ESRSなど既存フレームワークとの相互運用性も重視する方針を示している。特に、気候変動と自然資本の相互依存関係や、サプライチェーン全体を含めた自然関連リスク評価が、実務における重要論点になるだろう。

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原文:Nature-related Disclosures「ISSB Update May 2026」


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