GHGプロトコル、企業のGHG排出量・削減貢献の新たな報告枠組み検討 AMIに84%が支持

9月23日、GHG Protocolは、新たに開発を進めている「Actions and Market Instruments(AMI)」について、2026年3月31日から6月15日に実施した情報提供依頼(RFI)のフィードバック結果を公表した。企業のGHG排出量に加えて、市場を通じた調達上の選択や、製品・投資などによる排出削減への影響を分けて報告する「マルチ・ステートメント」方式について、回答者の84%が支持または強く支持した。RFIには400を超える回答が寄せられた。
AMIとは 企業の脱炭素行動を整理
AMIとは、企業の気候変動対策をScope 1・2・3のGHGインベントリー以外の情報も含めて整理するための枠組みであり、SAF(持続可能な航空燃料)や低炭素素材などの調達上の選択、省エネ製品による削減貢献、排出削減プロジェクトや投資などを、GHG報告の中でどのように算定・報告するかを新たに整理するもの。
現状のAMIの議論上では、将来的に企業には「自社・バリューチェーンからどれだけ排出したか」だけでなく、「どのような低炭素な調達を選択したか」「自社の製品や投資がGHG排出・除去にどのような影響を与えたか」まで、異なる情報として管理・説明する可能性が出てくることが考えられる。
なお、具体的な算定方法や、どの証書・契約を認めるかといった要件はまだ決まっておらず、今回のフィードバックでは、報告体系を設ける方向性について支持を確認した段階である。
AMI マルチ・ステートメント方式とは
AMIでは、企業のGHG排出量や脱炭素の取り組みを一つの数字にまとめるのではなく、性質に応じて4つの「ステートメント(報告枠)」(マルチ・ステートメント方式)で報告することが検討されている。
| AMIで検討中の区分 | 何を示すのか | 報告イメージ(例) |
|---|---|---|
| ① Physical GHG inventory(物理的GHGインベントリー) | 自社・バリューチェーンの活動に帰属する排出量 | 燃料、購入電力、原材料、物流、販売製品の使用などに伴うScope 1・2・3を算定 |
| ② Market-based GHG inventory(市場ベースGHGインベントリー) | 契約や証書など、企業の調達上の選択を反映した排出量 | 再エネ電力に加え、一定の要件を満たすSAF、低炭素燃料・素材などの契約・証書を反映 |
| ③ GHG impact statement(GHGインパクトステートメント) | 企業の行動によってGHG排出・除去がどれだけ変化したか | 省エネ製品による削減貢献、排出削減プロジェクト、脱炭素投資などの効果をScope 1・2・3とは別に算定 |
| ④ Non-GHG indicators(非GHG指標) | CO2換算量以外で企業の脱炭素行動を示す | 脱炭素投資額、低炭素製品の調達・販売割合などをKPIとして管理 |
なお、今回のRFIでは、②をマルチ・ステートメント方式に含めることに87%、③には80%が支持した。一方、④の非GHG指標への支持は33%にとどまった。
今後のスケジュール
今後、AMIはフェーズ2において具体的な算定・報告要件の検討に入る。SAFや低炭素素材などの市場手段について、どのような証書・契約を認めるのか、どこまで物理的なトレーサビリティを求めるのか、削減貢献をどのように算定するのかなどが主要な論点となるだろう。
GHGプロトコルは、AMIをISO 14064-1との統合一部として進めており、2027年第2四半期に基準案を公開協議に付し、2028年第4四半期に最終版を公表する予定である。なお、適用開始時期は現時点では示されていない。
<実務ポイント>
GHG ProtocolではScope 2の算定ルールについても大幅な見直しが進んでいます。
企業の再エネ調達やGHG算定にどのような影響が考えられるのか。改訂の主要論点と、企業が確認しておきたいポイントを解説しています。
スコープ2改定案を解説
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