OECD、農業・食品分野のカーボンフットプリント基盤整備──スコープ3排出管理を支える枠組みを提示

2月、OECD(経済協力開発機構)は、農業・食品分野におけるカーボンフットプリント算定の信頼性と普及を実現するための枠組みとして、「8つの必須構成要素(Eight Building Blocks)」を提示した報告書を公表した。
本報告書「Measuring Carbon Footprints of Agri-Food Products」は、農業・食品サプライチェーン全体における温室効果ガス排出の把握と削減を実効的に進めるためのデータ基盤の整備を目的としている。OECDは、農業や食品サプライチェーンが世界の排出量の約3分の1を占める一方で、サプライチェーンの複雑性や一次データの不足、算定手法の不統一などにより、排出量の比較可能性と信頼性が十分に確保されていない現状を指摘。OECDは、このような課題を踏まえ、企業、政策当局、投資家が共通に活用できるデータ基盤の構築が不可欠であると認識している。
本報告書では、信頼性のあるカーボンフットプリント算定を実現するための「8つの構成要素」の提示している。具体的には、①排出範囲や算定方法を統一するための報告基準・ガイドライン、②科学的根拠に基づく排出算定手法、③農場レベルでの一次データ取得を可能とする計算ツール、④一次データを補完するための二次データベース、⑤サプライチェーン全体でのデータ伝達の仕組み、⑥データの品質および信頼性を担保する仕組み、⑦低コストかつ大規模に展開可能な算定体制、⑧科学的知見の進展に応じた継続的アップデートの仕組み、の8点である。これらは個別の技術要素ではなく、相互に連携する「データインフラ」として設計される必要があるとされている。
OECDは、これらの構成要素が整備されることで、企業は自社およびサプライチェーンにおける排出強度をより精緻に把握できるようになり、調達先の選定や生産プロセスの改善といった具体的な削減行動につなげることが可能になると指摘している。
一方で、現状ではこれらの構成要素は各国・各主体ごとに個別に発展してきた経緯があり、相互の整合性や標準化が十分に確立されていないという課題がある。特に、農業分野では中小規模の生産者が多く、データ収集の負担やコストが普及の障壁となる可能性があるため、OECDは低コストでスケーラブルな仕組みの構築や能力開発支援の必要性を強調している。
なお、本報告書では、ISSBやCSRDなど、サプライチェーン全体の排出開示を求める国際的な制度動向とも密接に関連しているとしている。今後、スコープ3排出の重要性が高まる中、製品単位の排出データをどのように収集・標準化し、企業間で共有するかは、開示制度および企業の移行戦略(計画)における主要な課題となるだろう。
原文:Measuring Carbon Footprints of Agri-Food Products
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