5月12日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、第7回機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケートの集計結果を公開した。GPIFは2016年から、運用受託機関のスチュワードシップ活動に関する評価と、「目的を持った建設的な対話(エンゲージメント)」の実態および前回アンケート実施以降の1年間における変化の把握を目的として、上場企業向けアンケートを実施している。
アンケートは東証1部上場企業 2,183社を対象に行われ、回答者数は709社、回答率は32.5%だった。回答期間は2022年1月14日~3月18日。
過去1年間の IR ミーティング等における機関投資家の変化についてはここ数年徐々に増加していたが、今回初めて5割以上の企業から「好ましい変化がみられる」と回答があった。特に、「全体または多数の機関投資家の好ましい変化を感じる」の割合が上昇した。
企業の長期ビジョンの想定期間については、5年以上と回答した企業の割合(「5年以上10年未満」、「10年以上15年未満」、「15年以上20年未満」、「20年以上」と回答した企業の合計)が初めて8割を超えた。また、想定期間の設定にあたり、「長期計画・ビジョン」を基準とする企業が「中期経営計画」を基準とする企業を上回った。
また、ESGを含む非財務情報の任意開示を行う企業は大きく増加し、85%に達した。統合報告書の作成や TCFDに沿った情報開示を行う企業も大きく増え、特に、TCFD開示を行っている企業は前回の139社から249社と、100社以上増加した。
企業の ESG 活動における主要テーマとして、回答企業の77.9%が「気候変動」と回答しており、初めて最大のテーマとなった。前回比での回答率増加が最も大きかったテーマは、「気候変動」(前回比+14.3%)となり、続いて、「ダイバーシティ」(同+11.8%)、「人権と地域社会」(同+6.2%)となった。2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂を受けて、特定のテーマへの企業の意識が高まったことが窺える。