OECD、途上国への気候ファイナンス推移でレポート発表。2年遅れで14兆円超達成の見通し
11月16日、経済協力開発機構(OECD)は、2013年から2021年にかけて、先進国が途上国に対して提供・動員した気候変動資金の年次推移をまとめたレポートを発表した。
本レポートは、2016年から2021年までの気候テーマ別、セクター別、金融商品別、受益国グループ別の内訳も含まれている。また、適応に向けた資金を増やし、気候変動対策のための民間資金をより効果的に動員するために、国際的な資金提供者に対し、重要な政策的優先事項として主要な提言も提示している。
本レポートは、先進国から発展途上国への気候ファイナンスに関して、2021年に単年で896億ドル(約13兆円)に達したと報告。前年比で8%の増加となった。
先進国は、2009年の国連気候変動枠組条約第15回モントリオール締約国会議(COP15)で合意された「先進国全体で2020年までに官民あわせて年間1,000億ドル(約14.5兆円)」という目標には依然として達していないものの、OECDは今回、2022年の推計で1,000億ドル(約14.5兆円)を突破している可能性が高いと見ている。
OECDは2021年の国連気候変動枠組条約第26回グラスゴー締約国会議(COP26)の前に、2021年から2025年までの先進国から発展途上国への気候ファイナンスの将来シナリオを発表していた。896億ドル(約13兆円)という実績は、上限シナリオをやや上回るペースとなっている。
2016年から2021年の期間、中低所得国(LMICs)と高中所得国(UMICs)を対象とする気候ファイナンスの割合は横ばいだったが、低所得国(LICs)を対象とする割合は2016年の4%から2021年には10%に増加した。小島嶼開発途上国(SIDS)を対象とする気候変動資金の割合も、2016年の2%から2021年には4%へと増加している。後発発展途上国(LDC)を対象とする割合に関しては、2016年の12%から2020年には25%へと徐々に増加したが、2021年には20%へと減少。
公的なファイナンスは、2013年から2021年の間に380億ドル(約5.5兆円)から731億ドル(約11兆円)へとほぼ倍増し、2021年の総予算896億ドル(約13兆円)の大部分を占めた。特に多国間の公的気候ファイナンスが最も増加し、2013年以降2倍以上に増加、2019年以降は二国間の公的気候変動資金を抜く結果となった。
民間気候ファイナンスは、2021年には144億ドル(約2兆円)となり全体の16%を占めているが、2017年以降全体的に停滞している。
【参照ページ】
Climate Finance Provided and Mobilised by Developed Countries in 2013-2021