英研究者ら、気温上昇による国債格付の低下を予測

8月7日、英イースト・アングリア大学と英ケンブリッジ大学の研究者らは、グリーン・ファイナンスの課題に関する論文を発表した。本論文では、CO2排出量の削減が進まなければ、59カ国の国債格付が大幅に下落すると予測している。

本研究では、気候変動が109カ国の国債格付に与える影響をシミュレーションし、世界初の気候調整国債格付けを作成した。

その結果、代表的濃度経路(RCP)2.6に従った、温暖化を2℃未満に抑制する厳格な気候政策では、気候変動による格付への影響をほぼ排除できるという強い証拠を発見した。対照的に、より高い排出シナリオ(RCP 8.5)では、2030年までに59の国債が気候変動による格下げを経験し、平均0.68ノッチ低下、2100年までには81の国債が平均2.18ノッチの格下げに直面する。

気候変動による国債格下げが、企業とソブリン債のコストに与える影響も計算。サンプル全体を通して、気候変動は、RCP2.6の下では450億~670億米ドル(約6.5兆〜約10兆円)、RCP8.5の下では1,350億~2,030億米ドル(約20兆〜約30兆円)の国債の年間利払いを増加させる可能性がある。企業への追加コストは、RCP 2.6では100億~170億米ドル(約1.5兆〜約2.5兆円)、RCP 8.5では350億~610億米ドル(約5兆〜約9兆円)である。

【参照ページ】
Rising Temperatures, Falling Ratings: The Effect of Climate Change on Sovereign Creditworthiness

関連記事

“セミナーへのリンク"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. 生物多様性COP16で何が決まった?ネイチャーポジティブについて解説

    2024-11-26

    生物多様性COP16で何が決まった?ネイチャーポジティブについて解説

    近年、生物多様性の損失が急速に進んでいる。これに対抗するため、「ネイチャーポジティブ」および「自然…
  2. 2024-11-26

    国際基準「ISSA 5000」がサステナビリティ情報の信頼性向上を目指す

    11月12日、IAASB(国際監査・保証基準審議会)は、サステナビリティ保証のための新たな国際基準…
  3. 2024-11-25

    <発表>お役立ち資料ダウンロードランキング2024

    いつもESG Journal Japanをご覧いただきましてありがとうございます。今年までに最もダ…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る