シンガポールのサステナビリティ報告諮問委員会、上場・非上場大企業への気候報告義務化を推奨
7月6日、 会計企業規制庁(ACRA)とシンガポール取引所規制局(SGX RegCo)は、シンガポールにおける気候変動報告を推進するため、持続可能性報告諮問委員会(SRAC)の提言に関するパブリックコンサルテーションを開始した。
本提言では、上場発行体は2025会計年度(FY2025)より、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)に準拠した気候関連開示(CRD)を率先して報告することが求められている。年間売上高10億ドル以上の非上場大企業は、2027年度にこれに続く。パブリックコンサルテーションは2023年7月6日から9月30日まで実施される。
SRACの提言は、シンガポール・グリーン・プラン2030の下、持続可能な開発に関する国家アジェンダに貢献しつつ、世界的なビジネスハブとしてのシンガポールの魅力を維持することを目的としている。これらの提言は、企業が顧客や金融機関を含むステークホルダーの期待に応えるための準備となる。
SRACはACRAとSGX RegCoによって設立された業界主導の委員会で、シンガポール企業による持続可能性報告を推進するためのロードマップについて助言を行う。
現在、優先5業種の上場発行体のみが、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に準拠した完全なCRDを2023年度から順次提供することを求められている。それ以外の上場発行体は、TCFDを comply-or-explain ベースで適用することが求められている。
SRACは、90名以上の参加者と協議し、以下の主要な提言を行った。
a.全ての上場発行体に対して、2025 年度から気候報告を義務化
b.非上場大企業に対する2027年度からの気候変動報告の義務化
c. 上場発行体と大型非上場会社の双方は、ISSB基準 の要求事項を反映した現地の所定基準を用いて、 CRDを報告
d.外部保証の要求事項-気候変動報告義務化の対象となる企業は、温室効果ガスScope1及びScope2排出量1 について、全ての上場発行体については2027年度から、大規模非上場会社については2029年度から、外部保証を受けなければならない
e. 報告・提出のタイムライン – 株主やその他の利害関係者へのタイムリーな情報伝達を促進するため、CRDは財務諸表と同じ報告・提出のタイムラインを持つべきである
【参照ページ】
(原文)Singapore’s Sustainability Reporting Advisory Committee Recommends Mandatory Climate Reporting for Listed and Large Non-Listed Companies
(日本語訳)シンガポールのサステナビリティ報告諮問委員会、上場・非上場大企業への気候報告義務化を推奨