6月7日、国連責任投資原則(PRI)は、プライベート市場の機関投資家に向けて人権デューデリジェンス(人権DD)ガイダンスを発行した。本ガイダンスは、プライベート市場の投資家が一貫した人権慣行を採用し、より多くの情報に基づいた投資決定を行うためのツールとリソースを提供するものである。
国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)は、機関投資家は「他者の人権を侵害することを回避すべきであり、自らが関与する人権への悪影響に対処すべきである」と述べている。UNGPsが国連人権理事会で正式に採択され、2011年にOECDの多国籍企業ガイドラインで採択されて以来、投資家に対する期待は高まるばかりである。
プライベート市場の投資家が、その原資産を管理し、あるいは影響力を持つことが多いことを考えると、投資家は、投資プロセスに人権を統合し、より良い人権的成果につながる変化を支援する上で、特に適した立場にある。人権への深刻な影響は、多くの場合、風評リスク・経営リスク・財務的リスクをもたらす可能性がある。投資家は、影響を受ける当事者への影響を緩和・是正し、これらのリスクを潜在的に低下させるために、投資先と協働すべきであるとした。
UNGPsが求める「方針コミットメントの確立」「人権DDの実施」「救済へのアクセス整備・提供」からなる人権尊重における3つの責任を投資家に要請した。
人権方針は、投資家がその内部活動や投資活動を通じて、国際的に認められているすべての人権を尊重することを約束するものである。人権方針は、投資家の人権に対する考え方の基礎となるものであり、投資方針 やファンドの文書など、投資活動を規定するものを含め、投資家の運用方針や手続きに反映させるべきものであると言及した。
人権DDは、投資プロセスのあらゆる段階における意思決定に活用されなければならないとした。例えば、投資先の選定を支援し、株主間協定や取引後の行動計画に盛り込む是正措置を通知することなどが挙げられる。
【参照ページ】
(原文)Human rights due diligence for private markets investors: a technical guide
(日本語訳)PRI、プライベート市場投資家のための人権デューディリジェンスガイドを発行