Growth Summit 2023が開催、AIとグリーン・トランジションの進展

 

5月3日、世界経済フォーラムは、Growth Summit 2023を開催した。スイス・ジュネーブに400人以上のリーダーを集め、成長のための新しい状況について理解を深め、弾力的、持続可能、包括的な成長の未来を描くために議論が行われた。

本サミットで発表された「Chief Economists Outlook」によると、2023年の景気の見通しについて、45%が景気後退、同数が景気後退を回避すると予想し、専門家の意見は半分に分かれた。サミットでは、来年の成長を最も大きく左右すると予想されるトレンドとして、ジオエコノミクスとサプライチェーンの地理的変化、生成型AIを含むテクノロジーの急速な進歩と導入、産業政策の強化、特に環境に優しい成長とエネルギー移行を可能にする施策が挙げられた。

サプライチェーンのローカライズと多様化は、新たな成長の地理、新たな雇用、中小企業や新規参入の機会を生み出すと期待されている。しかし、開発途上国経済の成長と繁栄、不平等への対応、すべての人の生活水準の拡大、気候危機への対応には、人の移動と財・サービス・技術・アイデアのグローバルな交換が依然として基本である。

本サミットの直前に発表された「Future of Jobs Report」によると、今後4年間で全雇用の4分の1近く(23%)が破壊されるとも予想されている。サステナビリティとグリーン投資は、雇用の純増につながると期待される一方、低調な経済成長、供給不足、高インフレは、雇用増加の最大のリスクと見られている。人工知能の影響については、低技能のホワイトカラーの仕事を完全に置き換える可能性や、知識への迅速なアクセスによってさまざまな職業における労働者の生産性を増強する可能性について、両極端な見解が示され、広く議論が行われた。

企業、政府、労働組合、学術界、市民社会のリーダーたちは、世界中の生活水準を向上させるためには、成長への新たな後押しが必要であることに同意した。しかし、彼らはまた、GDPの成長のみに焦点を当てることに注意を促し、気候危機への取り組み、不平等の削減、社会の回復力の構築、新技術の破壊的パワーの管理など、他の緊急の優先事項との統合を強化するよう呼びかけた。

また、リーダーたちは、公平性を促進し、成長とイノベーションを加速させるためのチャンネルとして、ダイバーシティとインクルージョンの重要性を強調した。

本サミットでは、将来の雇用に向けた労働者の教育、再教育、スキルアップに焦点を当て、20以上のインパクトのあるイニシアティブが進められた。

【参照ページ】
(原文)Growth Summit 2023: Job Creation and Reskilling Must Be Central to Growth in the Age of Uncertainty, Advancing AI and the Green Transition
(日本語訳)Growth Summit 2023が開催、AIとグリーン・トランジションの進展

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?

    2025-8-20

    TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?(再掲)

    ※2025年5月28日公開済みの記事を一部更新し再掲している。 企業のサステナビリティ関連の…
  2. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…
  3. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…

ピックアップ記事

  1. TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?

    2025-8-20

    TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?(再掲)

    ※2025年5月28日公開済みの記事を一部更新し再掲している。 企業のサステナビリティ関連の…
  2. 2025-8-19

    PR【対談&ワークショップ】第一生命が語る「ESG開示」と「企業価値向上」

    毎回満員御礼でご好評をいただいているESG Journal 会員向けのESG Journal …
  3. 2025-8-18

    金融庁、EDINET新タクソノミ案公表 27年版ではサステナ情報開示も検討

    8月8日、金融庁は企業の有価証券報告書などで利用される電子開示システム「EDINET」の基盤となる…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る