1月20日、株式会社日本取引所グループ(JPX)は、JPX日経インデックス400構成銘柄を対象に「TCFD提言に沿った情報開示の実態調査」を実施しその内容を公表した。
前回の調査実施後、東京証券取引所における市場区分の見直しがなされ、より多くの企業がTCFD提言に沿った開示の質と量の充実に取り組んでいることが期待される。本調査では、対象をJPX日経インデックス400構成銘柄に拡大し、現時点の日本企業の気候変動情報開示の実態を示した。
項目別の開示状況では、開示割合が高い項目(「リスクと機会」、「取締役会による監視体制」、「スコープ1、2の排出量」)と低い項目(「シナリオに基づく戦略のレジリエンスの説明」等)について、前回調査(2021年11月公表)と同様の傾向が確認された。なお、TCFD提言において全ての企業が開示することが望ましいとされている「ガバナンス」「リスク管理」と、重要性評価を伴う「戦略」「指標と目標」との間で、開示の割合に顕著な差はみられなかった。
また、前回調査の対象となった企業においては、全ての項目について開示割合が増加しており、開示割合が低かった「シナリオに基づく戦略のレジリエンスの説明」については開示割合の増加が最も大きいという結果から、株主等のステークホルダーとの対話に活用できる情報の増加が確認できた。企業の属性(規模・業種等)や取り巻く環境によって、重要性評価や着手しやすい項目が異なるなか、自社の状況を踏まえできるところから取り組みをはじめ、段階的に対応・情報開示を拡大させていることが表れている。
本調査では、TCFD提言が情報開示の媒体として年次財務報告書を推奨していることを踏まえ、有価証券報告書を含む4種類の媒体を調査対象としたが、これらを補完する目的で自社のウェブサイトにおいて関連情報を公開している企業も多くみられた。
【参照ページ】
(原文)TCFD提言に沿った情報開示の実態調査(2022年度)