環境省、温室効果ガス排出報告制度を改正、森林吸収量の算入が可能に

2月12日、環境省は「温室効果ガス算定排出量等の報告等に関する命令」の一部改正を公布した(施行は2026年4月1日)。同日までに、地球温暖化対策推進法に基づく排出量算定・報告制度において、算定方法の見直しが行われてきた。今回の改正のポイントは、森林吸収量の取扱いの明確化と柔軟化にある。一定の要件を満たす場合、事業者は吸収量を調整後排出量に反映できる仕組みとなる。

同制度は、一定規模以上の事業者に対して温室効果ガス排出量の算定・報告・公表を義務付ける枠組みであり、国内の排出実態把握の基盤。環境省は、改正にあたり制度運用の実態やパブリックコメントの結果を踏まえ、算定方法の合理化・明確化を進めた。森林吸収量の取扱いを巡っては、企業の削減努力を適切に反映できる制度設計が求められていた。

サステナビリティ実務との関連

今回の改正は国内報告制度の枠内での改正ではあるものの、企業実務においてはより広い文脈での整理が求められるだろう。現在、多くの企業は本法令に基づく排出量報告以外にも、SBT等の科学的削減目標、ISSB基準や有価証券報告書における気候関連開示(SSBJ基準)など、複数の制度・基準に同時対応している状況にある。

森林吸収の算入が国内制度上では可能になったが、SBT目標では原則として実排出削減が求められ、吸収やオフセットは限定的にしか認められない場合もある。また、ISSB基準の開示では、投資家にとって財務的に重要な気候リスク・機会の説明が重視される。

今回の改正は算定ルールの変更にとどまるものの、企業側にとっては、排出データの位置づけや説明の仕方を改めて整理する契機となり得るだろう。
制度ごとに完全に個別の対応を行うことは現実的ではないため、排出量の算定基盤や内部統制体制は共通であり、データマネジメントの整合性が問われることになる。重要なのは、制度を混同しないものの、取り扱うデータ基盤を分断しないことだ。

それぞれの目的を踏まえつつ、同一のデータから異なる文脈で説明できる体制を構築できるかどうかが、今後の気候対応の実効性を左右する。

(原文)「温室効果ガス算定排出量等の報告等に関する命令の一部を改正する命令」の公布について

気候関連開示、いま改めて確認すべきポイント

国内制度の算定ルールが見直されるなかで問われるのは、排出量データをどう位置づけ、どう説明するかという視点です。
下記解説記事では、GHGプロトコルやSSBJ気候基準の実務ポイントを整理し「算定」から「戦略的開示」へと実務を高度化するか、その視点を解説しています。

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