10月4日、世界的な食品・飲料メーカーであるNestléは、「ネスカフェ プラン2030」を立ち上げ、コーヒー農業の持続可能性を向上させ、農家の再生農業への移行を支援する同社のユビキタスコーヒーブランドの計画概要を発表した。Nestléは、2030年までにこの新計画に10億米ドル(約1,444億円)以上を投資すると発表している。
Nestléは2010年に最初のネスカフェプランを展開し、スコープ1と2のGHG排出量を46%削減、ソリュブルコーヒー1単位あたりの直接取水量を53%削減、責任ある調達コーヒー82%を達成するなど、開始以来一連のマイルストーンを達成した。2021年には、2025年までに責任ある原料を使用したコーヒーを100%、リサイクルまたは再利用可能なパッケージを100%達成する目標など、追加のコミットメントを発表している。
Nestléは、気候変動がコーヒー農家にとって脅威となり、コーヒー栽培に適した地域が減少していることを受けて、この取り組みを開始したと述べている。同社によると、1億2,500万人がコーヒーに依存して生活しており、コーヒー農家の80%が貧困ライン以下で生活しているとのことだ。
再生農業の実践は、農業が環境に与える影響に対処することを目的としており、生態系の改善と回復、土壌の健全性と肥沃性の構築、排出量の削減、流域管理の強化、生物多様性の増加などの技術を含み、結果として収量の増加と気候変動に強い土壌、農家の生活の改善を実現する。例えば、土壌を保護するための被覆作物の植え付け、土壌を肥沃にするための有機肥料の使用、生物多様性を維持するためのアグロフォレストリーや間作の利用拡大、コーヒーの木を病気や気候変動に強い品種に置き換えることなどが挙げられる。
再生農業は、土壌による二酸化炭素の回収と貯留に貢献し、Nestléのゼロネットのロードマップの重要な部分を形成している。同社は、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を削減し、2050年までに排出量ゼロを達成することを約束している。
ネスカフェは、この新プログラムにおいて、農家への研修、技術支援、高収量のコーヒー苗木を提供し、農家と協力して複数の再生農業の手法を試し、学び、その効果を評価していく。この取り組みは、ブラジル、ベトナム、メキシコ、コロンビア、コートジボワール、インドネシア、ホンジュラスなど、同ブランドのコーヒー調達の90%を占める国々に焦点を当てる予定だ。
【参照ページ】
(原文)Nestlé launches NESCAFÉ Plan 2030 to help drive regenerative agriculture, reduce greenhouse gas emissions and improve farmers’ livelihoods
(日本語訳)ネスレ、再生可能な農業の推進、温室効果ガスの削減、農家の生計向上を支援する「ネスカフェ プラン2030」を開始