1月26日、 世界経済フォーラムは国連環境計画(UNEP)やドイツ国際協力公社(GIZ)と共同して気候変動対策のための新たな報告書を発表した。「State of Finanace for Nature in the G20」と題された報告書は、世界が気候変動の資金ギャップを適切に解消するために、ネット・ゼロおよび自然保護に前向きな投資を増やすことが緊急であることを明らかにしている。
本報告書は、昨年発表された世界的な報告書「State of Finance for Nature – Tripping Investments in Nature-based Solutions by 2030」の調査結果をさらに増幅し、自然ベースのソリューションにおける4兆1千億ドルの資金ギャップを解消するよう求めている。
G20以外の国々における支出ギャップはG20諸国よりも大きく、その解消は困難であることが明らかにされているが、G20の1,200億ドル(約14兆円)の投資のうち、政府開発援助(ODA)に向けられたものはわずか2%に過ぎないことが判明している。同様に、ほとんどのG20諸国では民間部門が国内総生産(GDP)の60%を占めているにもかかわらず、民間部門への投資は11%、年間140億ドル( 約1兆6千億円)と小規模なものにとどまっている。このように、自然に対するビジネスや投資のケースはより強力である必要がある。
2050 年までに、生物多様性、国土回復、気候に関するすべての合意目標を達成するためには、G20 の自然ベースの解決策への年間投資を少なくとも 140%増加させる必要があり、これは特に ODA と民間部門の支出において、年間 1,650 億ドル(約19兆円)を追加することを意味する。
世界的に見ると、自然ベースのソリューションへの今後の投資は2050年までに4倍に増加する必要があり、これは年間5,360億ドル(約62兆円)以上の投資に相当する。G20諸国の将来の投資ニーズは、2050年のこの世界総投資額の約40%を占めるが、G20諸国は財政的に余裕を持っていることから、この投資ニーズを満たす能力を有しているといえる。
本報告書では、パンデミック後、各国政府が真に「より良いものを作り直す」必要があると結論付けられている。多くの先進国は、国際資本市場で安価に借入を行うことができるるため、経済全体のセクターに財政的刺激を与える際に、「自然と気候の条件」を結びつける必要がある。また、生物多様性、気候、土地劣化の国際目標を達成するために、経済移行国により有利な規制、財政、貿易政策を策定する必要がある。
【参照ページ】
(原文)G20 Countries Can Help Close Climate Finance Gap by Investing in Nature-based Solutions
(日本語訳)世界経済フォーラム、新報告書でG20に対し、自然保護への投資拡大を提唱