英国のリシ・スナク財務大臣は、COP26気候変動枠組条約第2回締約国会議「ファイナンス・デー」の冒頭で基調講演を行い、英国の金融機関および上場企業に対し、ネット・ゼロ移行計画の開示を義務付ける要件を導入することを発表し、持続可能性報告に関する英国の計画の次のステップを明らかにした。
スナク財務大臣は、ネット・ゼロへの移行のための資金調達に巨額の民間資本が投入されることから、投資家はその影響に関する情報をますます必要とするだろうと説明した。また、GFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)が11月3日に発表した、130兆ドルの資本を有する450社以上の金融サービス企業が、ネット・ゼロの目標に向けて投資や活動を行うことを約束したことに触れ、次のように述べた。
「これは、世界中のネット・ゼロへの移行に向けた歴史的な資本の壁です。今重要なのは、その資本を低炭素の未来に投資するという行動です。そのためには、投資家は自分の投資による気候変動への影響を、損益という伝統的な財務指標と同じくらい明確にし、信頼する必要があります。」
【参考記事】ネット・ゼロを目指す金融連合GFANZ、COP26にて進捗を報告。参画機関の資産は約1.5京円に
この計画の詳細について、英国の経済財務省HM Treasuryは、産業界や学術界のリーダー、規制当局、市民社会団体などで構成される新しい移行計画タスクフォースを召集し、グリーンウォッシングを防止するために移行計画の「ゴールドスタンダード」を策定すると述べている。
先週、英国政府は気候関連財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)の提言に基づき、1,300社以上の大手上場企業および金融機関に対し、気候関連の財務リスクと機会に関する情報開示を義務付ける法律を2022年4月に導入することを発表したが、これに続く動きとなる。
【参考記事】英国、気候変動に関する情報開示の義務化を正式に法制化
規制当局や政府が気候関連の財務報告を義務付ける動きが強まる中、移行計画の開示は、サステナビリティレポートの次なるフロンティアとして注目されている。先月、TCFDは、企業が気候変動への移行戦略に関する計画と進捗状況を開示するための最初のガイダンスを発表した。
【参照ページ】
(参考記事)COP26: UK firms forced to show how they will hit net zero
(日本語訳)英国、COP26にてネット・ゼロ移行計画の開示を義務化を発表