Federated Hermesサーベイ:アドバイザーの95%が「顧客がESG投資について尋ねる」と回答
世界的な投資運用会社であるFederated Hermes社の新しい調査によると、富裕層や機関投資家によるESG投資への関心が継続的に高まっており、投資家はESG投資にアクセスするためにアクティブ運用戦略をとることが多くなっていることが明らかになった。しかし関心の高まりにもかかわらず、機関投資家のうち、ESGのリスク要因を投資プロセスに導入していると回答したのは40%未満だった。
本調査のために、Federated Hermes社は、200人以上の米国のファイナンシャル・アドバイザーおよびウェルス・マネジメントの専門家、AUM5億ドル以上の機関投資家102人、投資可能資産が100万ドル以上の富裕層100人を対象に調査を行った。
今回の調査では、投資家のESGに対する関心が継続的に高まっていることが大きな特徴となっており、アドバイザーの95%が、顧客からESGについて質問されたことがあると回答している。この関心の高さは、アドバイザー側の行動にもつながっており、61%のアドバイザーが、過去1年間に顧客のポートフォリオにESGを考慮することが増えたと報告し、昨年の報告時点では半数以下であったことが判明した。また、機関投資家のうち、現在ESGのリスク要因を投資プロセスに組み込んでいると答えたのは3分の1程度だったが、40%以上がESGインテグレーションの導入を検討していると回答している。
機関投資家の46%がESG投資の主な手段としてアクティブ運用を利用しており、パッシブ運用は昨年の22%から16%に減少している。同様に、ESG投資の主な手段としてのパッシブ運用は、富裕層の投資家では昨年の37%から22%に減少した。
今回の調査では、気候変動問題がESGの検討課題の中心となっている一方で、投資家が最重要視しているその他のESG関連課題についても調査した。データ・プライバシーとセキュリティは、投資家にとって気候変動や環境問題以外の課題のトップであり、約3分の2がこれらの要素を「最重要視する」と回答し、約80%が過去1年間でこれらの課題の重要性が増したと答えている。また、回答者の60%以上が、「ダイバーシティ、公平性、インクルージョン」と「サプライチェーンの回復力」も重要性を増していると回答している。
この調査のその他の主なハイライトは以下の通り。
- 機関投資家の59%が、ESG基準の明確な定義や、その基準に照らして外部のマネージャーを監視する能力がないことがESG投資の障害になっていると回答し、58%が堅牢なESGデータが入手できないと回答した
- 情報開示の質:機関投資家の72%が、投資先企業や投資対象から得られるESGデータや測定の質と一貫性に懸念を抱いていると報告している
- エンゲージメントの増加:機関投資家の61%は、エンゲージメントとは、企業と協力してESG目標を特定し、その目標達成に向けた進捗に影響を与える継続的なプロセスであると考えている
【参照ページ】2021 ESG Investing Survey