環境NGO連合、EU炭素除去認証手法に異議申し立て 森林・農地への影響を懸念

6月15日、複数の環境保護団体は欧州委員会が策定した炭素除去認証制度(CRCF=Carbon Removals and Carbon Farming Regulation)の手法について見直しを求める異議申し立てを行った。団体側は、現在の認証手法では、大気中からのCO₂の恒久的な除去を十分に保証できず、EUの気候変動対策目標の達成を損なう恐れがあると主張している。

異議申し立ては、Carbon Market WatchやWWF欧州事務所、Fernなど複数の環境NGOによって提出された。対象となるのは、バイオマス由来のCO₂を回収・貯留する「Bio-CCS(バイオマス炭素回収・貯留)」および炭化した有機物を土壌に埋設する「バイオ炭(Biochar)」に関する認証手法である。

CRCFは、EUが2050年までの気候中立達成を目指す中で導入を進めている制度で、恒久的な炭素除去や農業分野での炭素固定を促進することを目的としている。制度の下では、一定の基準を満たした炭素除去活動に対し認証を付与し、民間資金の呼び込みを図る。

しかし、NGO側は今回の委任法(Delegated Act)で示された認証方法について、「最新の科学的知見や国際的な基準を十分に反映していない」と指摘。森林や農地への影響評価が不十分であり、一部の活動については実際には温室効果ガス排出量を増加させる可能性もあると主張している。

提出された文書では、森林から伐採した木材を燃焼し、その際に発生するCO₂を地下貯留するBio-CCSについて、森林から失われる炭素が十分考慮されていないと指摘した。また、土地利用変化に伴う間接的な排出や、バイオ炭利用後の長期的なモニタリング体制にも課題があるとしている。

環境団体はさらに、こうした認証が将来的にEU排出量取引制度(ETS)での排出相殺に利用される可能性に懸念を示している。信頼性が十分に確保されない炭素除去が排出削減の代替手段として活用されれば、実質的な温室効果ガス削減を遅らせる恐れがあるという。

一方、欧州委員会はこれまで、炭素除去技術の普及と投資促進に向け、科学的根拠に基づく認証制度の整備を進めてきた。CRCFは、高品質な炭素除去を促進するとともに、企業による環境配慮を装う「グリーンウォッシュ」の防止も目的としている。

今回の異議申し立ては、環境情報への市民参加を保障するオーフス規則(Aarhus Regulation)に基づいて行われた。欧州委員会は最大22週間以内に回答する必要があり、申し立てを退けた場合、NGO側はEU一般裁判所に提訴することが可能となる。

EUでは近年、排出削減だけでなく炭素除去の活用を気候政策の柱の一つとして位置付ける動きが強まっている。今回の論争は、炭素除去技術の信頼性や森林資源の持続可能な利用を巡る議論にも影響を与える可能性があり、今後の欧州委員会の対応が注目される。

原文:Environmental NGOs challenge the Commission on EU carbon removal methodologies
日本語参考訳:環境NGOが欧州委員会に対し、EUの炭素除去手法について異議を唱える


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