気候リスクが不動産市場を圧迫 保険料上昇で資産評価見直しも

4月15日にCBREが発表したビジネスインサイトによると、アジア太平洋地域の不動産市場では、気候変動に伴う自然災害リスクが保険料や資産価値に影響を及ぼし始めている。洪水やサイクロン、山火事の頻発を背景に、高リスク地域では保険料の上昇や補償条件の厳格化が進み、一部では保険の引き受け自体が難しくなっているという。
ミュンヘン再保険のデータによると、2025年に同地域で発生した自然災害による損失は730億米ドルに上ったが、このうち保険で補償されたのは12.3%にとどまった。CBREによると、住宅向け保険では高リスク地域から撤退する保険会社も出ており、残る事業者も保険料の引き上げや契約条件の見直しを進めている。再保険料の上昇も保険コストを押し上げる要因になっているという。
こうした動きは、不動産の融資や資産価値にも波及しつつある。CBREは、保険加入の難易度が高まれば物件の収益性や流動性が低下し、高リスク資産の評価が下押しされる可能性があるとみている。このため、市場では過去の実績だけでなく、将来の気候リスクを反映した不動産評価の重要性が増しているという。
一方、災害対策への投資が保険料の抑制につながる事例も出ている。Link REITによると、複数物件で洪水対策などの気候リスク軽減策を講じた結果、保険料を11.7%削減できた。対策の効果を定量化して保険会社に示すことで、保険条件の改善につなげたとしている。
市場では、こうした取り組みを反映するサステナビリティ連動型保険や、あらかじめ定めた条件で保険金が支払われるパラメトリック保険にも関心が高まっている。CBREによると、気候リスクが不動産市場に与える影響が広がるなか、事後対応よりも事前の備えを重視する流れが強まりそうだ。
原文:Business Insights | Climate Risk & Real Estate: Why mitigation is the best insurance policy
日本語参考訳:ビジネスインサイト|気候変動リスクと不動産:緩和策が最良の保険である理由
🔓会員登録で実務解説・実践ガイド
ESG Journalでは、実務に役立つポイントや実践ガイド(テンプレート)を紹介しています!国際的な動向からも気候変動への対応や開示の高度化が進んでいます。ぜひこの機会に自社の実務対応を再確認してください。
🌍気候変動開示への対応に関連する実務解説はこちら>>>
すでに登録済みの方はログイン




