バイオガス技術を手掛けるSistema.bio、農家向け炭素金融「FarmCarbon」始動 5300万ドル調達でメタン削減と収入向上を両立

3月17日、バイオガス技術を手掛けるSistema.bioは、小規模農家に直接気候資金を供給する炭素金融スキーム「FarmCarbon」の立ち上げと、総額5300万ドルの初回資金調達完了を発表した。出資はBNPバリパ・アセットマネジメント社傘下のBNPP AM Alts、英国の政府系開発金融グループ「ブリティッシュインターナショナル・インベストメント(BII)、シェル財団が主導した。

FarmCarbonは、世界の農家に9万台以上のバイオディジェスター導入を促進し、家畜排せつ物由来のメタンを回収・分解することで、約900万トンのCO2換算排出削減を見込む。家畜廃棄物をバイオガスと有機肥料に変換することで、エネルギー費用や化学肥料コストの削減、生産性向上にもつながり、小規模農家の所得向上を図る点が特徴である。

農業分野は温室効果ガス排出の大きな要因である一方、気候資金の流入は限定的であり、特にメタン対策への投資は全体の約2%にとどまるとされる。メタンはCO2の約28倍の温暖化効果を持ち、地球温暖化の約30%に関与するとされる重要課題である。

FarmCarbonは従来の炭素金融と異なり、排出削減前に資金を提供する「プレファイナンス」モデルを採用。将来創出されるクレジットを長期契約で販売する仕組みとし、厳格な事前評価やデジタルMRV(測定・報告・検証)を通じて透明性と信頼性を確保する。

バイオガスはエネルギー供給、健康改善、食料安全保障など多面的な効果を持つとされ、FarmCarbonは農業分野における気候対策と経済的利益の両立を図る新たなモデルとして注目される。今後は企業や政府と連携し、メタン削減を軸とした気候アクションの拡大を目指す考えである。


(原文)Sistema.bio raises $53M to launch FarmCarbon—an innovative funding vehicle aimed at expanding climate finance for smallholder farmers and accelerating methane mitigation. 
(日本語参考訳)Sistema.bioは、小規模農家向けの気候変動対策資金を拡大し、メタン排出削減を加速させることを目的とした革新的な資金調達手段であるFarmCarbonを立ち上げるために、5300万ドルを調達した。


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