INEOS、仏政府から3億ユーロ助成 ラヴェラ拠点の脱炭素化で年33万トンのCO₂削減へ

2月19日、英化学大手のINEOSはフランス南部ラヴェラ拠点の再生・脱炭素化に向け、3億ユーロを投資すると発表した。今回の投資はフランス政府の助成を受けて実施され、年間33万1,000トンの二酸化炭素(CO₂)排出削減を見込む。これは年間で約7万台以上の自動車を道路から減らす効果に相当するという。

同プロジェクトは、フランス政府の「Appel d’Offres Grands Projets Industriels de Décarbonation(AO GPID)」制度の支援を受ける。同制度は国家投資計画「France 2030」の一環として運営され、大規模産業の脱炭素化を促進することを目的に、最大15年間にわたり実際の排出削減量に応じた補助金を交付する仕組みだ。排出削減は独立機関による検証が義務付けられている。

ラヴェラ拠点はフランス製造業の中核を担う石化コンプレックスで、医薬品、航空宇宙、防衛、クリーンエネルギー、食品包装など幅広い産業に基礎原料を供給している。今回の投資により、約2,000人の直接雇用と、サプライチェーン全体で1万人超の雇用の安定化が図られる見通しだ。エネルギー価格の高騰や国際競争の激化を背景に欧州で化学工場の閉鎖が相次ぐなか、国内生産基盤の維持を重視する姿勢が鮮明となった。

INEOS創業者のJim Ratcliffe氏は声明で、「脱工業化による脱炭素化が答えではない」と強調。重要原材料を中国や米国からの輸入に依存するのではなく、国内で確保することが産業主権の観点から不可欠だと訴えた。今回の投資は、競争力強化と長期的なレジリエンス確保を両立させる「真の産業リーダーシップ」だと位置付けている。

設備更新では、実績ある高効率技術を導入し、将来的な電化や炭素回収技術の導入にも対応できる基盤を整える。また、リサイクルプラスチックやバイオ由来原料の活用を拡大し、化石由来原料の代替を進めることで、循環型経済の推進にも貢献する方針だ。

同社は2025年11月にも同拠点に2億5,000万ユーロの投資を発表しており、今回と合わせて総投資額は5億5,000万ユーロを超える。INEOSは引き続き、欧州化学産業の競争力回復に向けた政策対応を各国政府に求めている。

ラヴェラ拠点への大型投資は、脱炭素と産業基盤維持を両立させるフランスの戦略を象徴する事例となりそうだ。

(原文)INEOS awarded €300 million grant by French Government to rejuvenate and decarbonise Lavera site and cut CO2 emissions by 331,000 tonnes per annum

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