WRI、スーパー・エルニーニョが企業のサプライチェーンやエネルギー供給に与える影響を解説

6月、世界資源研究所(WRI)はスーパー・エルニーニョの仕組みと企業・社会への影響について解説を公表した。本レポートによれば、エルニーニョ現象は太平洋赤道域の海面水温上昇によって発生する自然現象だが、特に規模の大きい「スーパー・エルニーニョ」は世界各地で異常気象や経済的損失を引き起こす可能性があるとしている。なお、国連の専門機関でもある世界気象機関(WMO)は、エルニーニョの再来に備える必要があるとして、各国政府や企業に対し早期のリスク対応を呼びかけている。
気候変動リスクは「水不足」だけではない
WRIは、エルニーニョの影響を単なる干ばつや洪水の問題だけとして捉えるべきではないと指摘する。降水パターンの変化は、農業生産、水資源、エネルギー供給、物流ネットワークなど幅広い分野に波及する可能性がある。特に、水力発電への依存度が高い地域では、渇水による発電量低下が電力供給リスクにつながると分析している。
また、農業分野では収穫量の減少や価格変動が発生しやすくなり、食品サプライチェーン全体に影響が及ぶ可能性がある。過去、規模の大きなエルニーニョでは、干ばつや洪水による農業被害が各地で報告されている。
サプライチェーン管理の重要性が高まる
WRIは、企業が気候変動リスクを自社拠点だけでなくサプライチェーン全体で把握する必要があると強調する。原材料調達地域での水不足や異常気象は、生産停止や物流遅延を引き起こす可能性があり、企業価値への影響も大きくなる。
また、ISSB・TNFDなどの開示フレームワークにおいても、気候・自然関連リスクをバリューチェーン全体で評価することが求められているのは、こうした影響が背景にあると言える。スーパー・エルニーニョの発生可能性が高まる中、企業には物理的リスクの再評価や事業継続計画(BCP)の見直しが求められそうだ。
現時点では2026年後半に強いエルニーニョが形成される可能性が高いとみられているが、その規模や影響範囲には依然として不確実性が残る。一方で、専門家は気候変動による地球温暖化がエルニーニョの影響を増幅させる可能性を指摘しており、2027年にかけて記録的な高温や異常気象が発生するリスクも懸念されている。
原文:How Might a ‘Super El Niño’ Affect Food, Forests and Water?
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