
5月20日、米国ニューヨーク州沖で建設が進められていた洋上風力発電プロジェクト「エンパイア・ウィンド」について、米内務省海洋エネルギー管理局(BOEM)が工事停止命令を解除したことが明らかになった。事業を主導するノルウェーのエクイノール傘下のエンパイア オフショア ウィンドが同日発表した。これにより、建設活動が再開される。
エンパイア・ウィンドはニューヨーク州と米国のエネルギー戦略上重要なプロジェクトと位置付けられ、地域の雇用創出やサプライチェーンへの投資、再生可能エネルギー供給に貢献すると期待されている。工事停止命令は4月16日に発令されていたが、当局や連邦・州・市の関係者との対話を経て、解除に至った。
エクイノールのアナス・オピーダル最高経営責任者(CEO)は声明で、「何千もの米国人の雇用を救い、米国のエネルギーインフラへの継続的な投資を提供する解決策を見出したトランプ大統領に感謝したい」と述べた。また、ニューヨーク州のキャシー・ホーチュル知事、ニューヨーク市のエリック・アダムス市長、チャック・シューマー上院議員ら議会指導者、労働組合などの関係者に対し、プロジェクトへの揺るぎない支援に謝意を表明した。さらに、ノルウェーのストーレ首相とストルテンベルグ財務大臣が、この困難な時期に支援し、米国政権に状況を提起してくれたことにも感謝を示した。
エクイノールUSのモリー・モリス社長は、「このプロジェクトは、地域への重要な新しい電力供給源を提供することで、米国とニューヨークが共有するエネルギーの野心を実現するものだ」と強調した。プロジェクトのサプライチェーン投資はニューヨーク州だけでなく、ルイジアナ州、ペンシルベニア州、テキサス州、サウスカロライナ州など全米の州に及ぶという。
エンパイア・ウィンドは現在、建設工程の30%以上が完了している。エクイノールは第2四半期にプロジェクトの経済性について再評価を行う予定だ。2025年の海上設置作業の期間内に計画された活動を実施し、2027年の商業運転開始を目指すとしている。同社は工事停止命令の影響を軽減するため、サプライヤーや規制当局との連携を強化する方針だ。
米国政府は2017年にニューヨーク州沖の洋上大陸棚の指定区域を競争入札によってエンパイアに初めて貸与。広範な環境審査プロセスを経て、2024年初頭に商業用洋上風力発電所の建設計画が承認され、その後建設が開始された。プロジェクトの資金調達は2024年に確保されている。
エクイノールは米国をポートフォリオの中核国と位置付けており、2000年代初頭から約600億ドルを米国のエネルギープロジェクトに投資。主に石油・ガス分野、近年は低炭素ソリューション、重要鉱物、再生可能エネルギー分野に重点を置いている。
(原文)Stop work order lifted, Empire Wind project resumes construction
(日本語参考訳)工事中止命令が解除され、エンパイア・ウィンド・プロジェクトが工事を再開